歴史

武士道

山岡鉄舟の口述をまとめ、勝海舟の評論を加え、解説してもとめたもの。 そのまとめにもあるように、本書は哲学書というほどきっちりしたものではない。幕末を生き、大悟した山岡鉄舟の、頭の中をちょっと覗いてその目指すところを語ったものであり、それ以上…

にっぽん歴史秘話

日本各地に残る歴史を元新聞記者である著者がまとめたエッセイ。長崎を中心に残るキリスト教関係の話が面白かった。 エッセイは地方毎に分かれていて楽しいが、「秘話」というほどの話は無いような。「歴史探訪」ぐらいで丁度良い。にっぽん歴史秘話 (河出文…

江戸っ子はなぜ宵越しの銭を持たないのか?

落語を通じてのぞいた江戸時代を紹介。落語を知らなくても面白いが、知ってる方が良いかもしれない。落語の取っ掛かりにも良いかも。江戸っ子はなぜ宵越しの銭を持たないのか? 落語でひもとくニッポンのしきたり (小学館101新書)作者: 田中優子出版社/メーカ…

史談あれやこれ

村雨退二郎の歴史随筆。 「与太郎」の語源から歴史小説における時代考証の必要性まで、話題は多岐にわたる。与太・道化・城郭の丸・河童の語源を考える「珍物語源考」、君と僕・殿と様・女性の名前・臣民と大臣・言葉の時代性について考える「ことば雑談」、…

正倉院の謎を解く

正倉院で働いていたらしい著者による、「謎を解く」というよりは解説。正倉院収蔵物をひたすら解説。特に漆器や陶器などの解説は詳しすぎたので、とばし読み。このようにタイトルが適切でないと読みたいレベルと本のレベルが乖離していることがあるので困る…

大江戸開府四百年事情

江戸時代がいかに平和な時代だったかを熱く語る本。 著者は、作家の井沢元彦と同じように、「記録が残っていることは異常なことであり、そのような記録を見ているだけではそれ以外の当時の生活は見えてこない」という歴史の見方である。 これに基づいて、一…

正倉院の謎

東大寺正倉院に収められた御物の出自を徹底的に調べた本。 正倉院の御物と言えば奈良時代の宝物が収められているものと学校では習うが、その実、収められているものの全てが奈良時代のものというわけではなく、増減を繰り返しているという事実がある。また奈…

関が原前夜--西軍大名たちの戦い

関が原の戦いで西軍に属した大名たちの中でも毛利・上杉・宇喜多・島津など主だった大名たちがどのような流れで関が原の戦いに到ったかを西軍側の資料から読み解く。 歴史はどうしても勝者の記録が大々的に取り上げられるものなので、敗者のイメージは悪く、…

鬼女伝承とその民俗-ひとつ家物語の世界

こういうのはなんていうんだ。研究書というほどマニアックでもないんだけども。さまざまな形で描かれた「ひとつ家伝説」が、どのようにして生まれ変化してきたかを明らかにする本。 猟奇的な話というのはいつの時代も一定の支持を得るものらしい。殺し合いが…

毒舌日本史

今東光の歴史対談。 一つの側面から見て分からないことが別の角度から見ればあっさり理解できるということは、よくある。歴史についても同じで、前後の歴史だけでなく、例えば仏教的な視点なり地方的な視点なりを通じて見ることで理解できることがあったり新…

陸軍中野学校の真実 諜報員たちの戦後

陸軍中野学校の卒業生を追ったノンフィクション? かなり秘密が守られていたと思われる情報将校養成所の実際を、著者が卒業生から聞いて回る話。授業内容や卒業生のその後の話等。下山事件にも関わっていた(かもしれない)!話のくだりは少し胡散臭い。 陸…

教科書が教えない歴史

この本は教科書に載せなくなった歴史を載せる、いわゆる右寄りな内容であるわけだけれども、中学生でも読めるように書かれた本らしいのであまり詳しいことは書かれていない。 それはそれで気になる点を拾って後で調べる気になるのでいいのだけれども、この年…

日本国宝物語―歴史に秘められた謎を訪ねて

日本の国宝にまつわる話をまとめた本。なぜかミスター戦国時代、小和田哲男の著作。歴史的事件にまつわる国宝、歴史に残る人物にまつわる国宝、海外との結びつきを示す国宝、宗教関係の国宝、伝承にまつわる国宝で章分けされている。御堂関白記の話が面白か…

怨霊になった天皇

基本的に崇徳天皇の話。百人一首の「むすめふさほせ」の「せ」を読んだ「崇徳上皇」と言った方がわかる人も多いかもしれない。 日本人は忘れがちなことだが、思えば天皇家というのは全くおかしな家で、少なくとも戦前までの1300年間(!)はある種の日本の頂…

古代文明の謎はどこまで解けたか〈3〉捏造された歴史とオカルト考古学・篇

いまだに解明されていない古代文明の謎に最先端の考古学はどこまで迫っているのか?という本を三つに分けたうちの三。つまり完結。 今回は、考古学と捏造の例として、5000年前の男アイスマン、シュリーマンのトロイア発掘、旧約聖書の最古の写本、ヴィンラン…

日本人の美徳 誇りある日本人になろう

みんな大好き櫻井よし子の新書。現代の日本人への提言。ただ新書にするほどの内容ではなく、内容は多岐に渡りどちらかというとエッセイに近い。肩に力が入りそうな題名だがやさしい文章に肩透かしを喰らう。それでも今の日本人が忘れがちなことをやさしく述…

古代文明の謎はどこまで解けたか〈2〉地上絵と伝説に隠された歴史・篇

いまだに解明されていない古代文明の謎に最先端の考古学はどこまで迫っているのか?という本を三つに分けたうちの二。1冊目で有名どころを総攫いしてしまったのか、扱うテーマは若干マイナーである感が否めない。「ナスカの地上絵」と「レイライン」、「古代…

古代文明の謎はどこまで解けたか〈1〉失われた世界と驚異の建築物・篇

いまだに解明されていない古代文明の謎に最先端の考古学はどこまで迫っているのか?という本を三つに分けたうちの一。「アトランティス」「天体と古代文明」「古代の建造物」の3章に分かれており、それぞれ俗説・通説を取り上げて解説し、その後に反証をあげ…

幕末維新秘史

幕末のあまり有名でない話を紹介する本。有名でないのは有名でないなりの理由があるわけで、市井の話であったり有名人の異聞であったり奇談であったり、さらっと読んであとに残らず楽しめる話が多い。ただ話によっては出典が明らかでないので真偽の程は怪し…

驕れる白人と闘うための日本近代史

日本人の著者がドイツ人向けにドイツ語で書いてドイツで出版した本の邦訳。 短くまとめれば、日本が短い時間で近代化を成し遂げることができたのは鎖国をする間にすでに下地ができていたからであり、欧米がやさしく指導したからではなく、むしろ帝国主義に騙…

歴史を考えるヒント

網野善彦の講演を文章化した連載をまとめた本。さまざまな言葉の成り立ちをきっかけにして歴史を考える。「『日本』という国名」から始まり「列島の多様な地域性」「地域名の誕生」など興味深い話が目白押し。被差別民・無縁等の著者のテーマもわかりやすく…

歴史と出会う

網野義彦が書いた残りを集めたような一冊。あとがきとか対談とか弔辞とか。 自らの教師経験を語るくだりで、教え子たちに呼ばれた同窓会の折にもう一度歴史の授業をしたという話があるのだが、そこで著者は過去に教えた内容が間違っていたことを謝ったという…

大江戸死体考

上に書いた「大江戸残酷物語」と同じ筆者がさらに「死体」をクローズアップして書いた一冊。試し切りの話や人斬り浅右衛門こと首切り役人山田浅右衛門とその一党について詳しく書いてあったのが良かった。大江戸死体考―人斬り浅右衛門の時代 (平凡社新書 (01…

大江戸残酷物語

転がる死体、公開処刑等等、江戸時代の陰惨な面に魅せられた著者が集めた記録の集大成。 一口に江戸時代といっても人間の営みが260年も続いているのだから事件があって当たり前。しかも「死」ということが現実からかけ離れてしまった現代から見るから陰惨に…

三種の神器

天皇家に伝わる三種の神器についてとその歴史。日本人なら誰でも知っていると思ったら周りの人は意外と知らなかった。そんなことはあるまいと入力してみたら、八尺瓊勾玉、草薙剣は一発で変換できたが八咫鏡はダメだった。意外と知られてないんですね。 勾玉…

戦国武将の生き方死にざま

小和田哲男。以前読んだ本と内容が少しかぶるような気がしないでもないが、戦国時代に生きる人の死生観金銭観等等がわかったような気になる。戦国武将の生き方死にざま (新人物文庫)作者: 小和田哲男出版社/メーカー: 新人物往来社発売日: 2009/05/11メディ…

宗教で読む戦国時代

届いたときには少しマニアックに過ぎたかと後悔しないでもなかったのだが読んでみたら面白かった。 当時日本にいた外国人宣教師が本国に送った報告書が残っていることは知っていたしルイス・フロイスの文庫化されてるものは読んだこともあるが、これら宣教師…

戦国時代は裏から読むとおもしろい

小和田哲男が、戦国史上の一齣を敗者の側に立って説明・解明する。最近の説(桶狭間は奇襲ではなかった、とか)を踏まえた上での話なので興味深く、読んで損はない一冊。戦国時代は裏から読むとおもしろい!―「敗者」から見たもうひとつの戦国合戦史 (青春文…

本能寺の変 四二七年目の真実

明智光秀の子孫が書いた「本能寺の変」の真実。 「本能寺の変」の最大の謎はなぜ明智光秀が謀反を起こしたかだが、これについてはいろいろと追い詰められていた光秀が土岐一族の命運を賭けた+徳川家康暗殺計画がそのまま織田信長暗殺にぴったりだった、とい…

GHQ作成の情報操作書「真相箱」の呪縛を解く―戦後日本人の歴史観はこうして歪められた

戦後GHQが作成したラジオ番組「真相箱」の内容を復刻したものに桜井よしこが解説を加えたもの。今でもその影響は残っていて、例えば学校の授業では「ポツダム宣言を受諾して日本は連合軍に無条件降伏しました」と習ったように思うが、実は日本は無条件降伏し…