古代文明の謎はどこまで解けたか〈1〉失われた世界と驚異の建築物・篇

いまだに解明されていない古代文明の謎に最先端の考古学はどこまで迫っているのか?という本を三つに分けたうちの一。「アトランティス」「天体と古代文明」「古代の建造物」の3章に分かれており、それぞれ俗説・通説を取り上げて解説し、その後に反証をあげて現状説明、というスタイル。皮肉っぽい言い回しが多いが揚げ足取りだけで終わってはいないので、この手の本としては良心的。
たとえばアトランティスとかオーパーツとか、そういったいわゆる古代文明の謎といった類の話は好きなんだけれども、こういったものは当時の西洋人による、異文化への歪んだ反応の一つと呼べないこともない。自分たちにはできないことだから宇宙人(下手すると神)の仕業に違いないとか、こいつら(現地人)には作れないはずだからその前に優れた文明があったに違いないとか。西洋人もルネッサンスという失われた技術の再発見を経験しているにもかかわらずそういう反応が出てくるという点に当時の西洋人の人種差別主義丸出しっぷりが伺える。
ということで古代文明の謎を通して見る西洋人、という意味でも面白い本だった。2と3も買ってあるので読もう。

古代文明の謎はどこまで解けたか〈1〉失われた世界と驚異の建築物・篇 (Skeptic library (07))

古代文明の謎はどこまで解けたか〈1〉失われた世界と驚異の建築物・篇 (Skeptic library (07))