大江戸開府四百年事情

江戸時代がいかに平和な時代だったかを熱く語る本。
著者は、作家の井沢元彦と同じように、「記録が残っていることは異常なことであり、そのような記録を見ているだけではそれ以外の当時の生活は見えてこない」という歴史の見方である。
これに基づいて、一揆や打ちこわしの記録から垣間見える従来の江戸時代の姿は異常事態に過ぎず、民衆が満足していなければ江戸時代が長く続くことはなかった、と主張。またそれを証明すべく民衆が満足していたと思われる証拠をずらずら並べており、それはそれで説得力はあるが、逐一しつこい。そこまで井沢の真似しなくてもいいのに。少し著者の意気込みがから回りしている感がある。
個人的には江戸時代が続いたのは、著者の意見に近くなるが「民衆が割と自由に暮らしていたので不満が少なかった≒満足していた」のに加え、徳川家の仮想敵国に対する備えが万全だったからではないかと思う。

大江戸開府四百年事情

大江戸開府四百年事情