2011-05-01から1ヶ月間の記事一覧

三つ首塔

横溝正史の推理小説。 読み始めた当初はエログロ風味がやや強く、また金田一が出てこないのでこれは江戸川乱歩の小説かと背表紙を見返したりした。結局金田一は出てきたわけだけども、『三つ首塔』はおそらく横溝作品(というか金田一作品)の中でも少し異色…

ポップ1280

「このミステリーがすごい!」2001年版海外編第1位の作品。 人口1280人の田舎町の保安官の話。映画で言えばクライムムービー。小説だからノワール。と書くと面白くなさそうだが、人畜無害に見えるこの保安官が食えない男で、なかなかひきつけられるものがある…

日本国宝物語―歴史に秘められた謎を訪ねて

日本の国宝にまつわる話をまとめた本。なぜかミスター戦国時代、小和田哲男の著作。歴史的事件にまつわる国宝、歴史に残る人物にまつわる国宝、海外との結びつきを示す国宝、宗教関係の国宝、伝承にまつわる国宝で章分けされている。御堂関白記の話が面白か…

容疑者Xの献身

東野圭吾のミステリ。 別れた夫を殺してしまった女性に声を掛けてきた隣人と、その同級生探偵の知恵比べ。 ミステリを読んでいて少しずつ違和感を感じることがある。それが結局トリックを解く鍵であったりすると悔しい。悔しいけれども違和感を違和感として…

厭魅の如き憑くもの

憑き物筋云々の民俗学っぽいホラーとミステリが融合した作品。舞台や登場人物の名前が衒いすぎで少少読みづらいことを除けば、ホラー小説をほとんど読んだことがない私が言うのもなんだがホラーとしてもミステリとしても合格点。探偵役の頼りなさの表れとし…

悪魔の手毬唄

横溝正史の推理小説。 23年前に起きた殺人事件と現在の村に起こる殺人事件の関連を追う金田一が活躍する話である。推理小説としては「顔の無い死体」形式とマザーグース形式、というのか地域に残る古い唄を元にした形式をうまく組み合わせていて、意欲的。あ…

セレモニーは13日の金曜日

先週の10日。日本の援助でこっちの地方政府が購入した中古漁船が届いたので、地方政府側の担当者であるケッチョさん(国会議員)に連絡した。するとすぐにでも大統領を呼んで引渡しのセレモニーをやりたい、と言う。通関はなんとかなるとしても、各種セット…

殺人交叉点

読んだのを忘れていたフレッド・カサックのミステリ。 10年前に起きた二重殺人の真相が、時効寸前に明らかになる表題作と、浮気相手を妊娠させてしまった主人公が殺人を思い立つ「連鎖反応」の2編を収録。どちらも意外な結末ではあったけども驚きではなかっ…

ウサギ料理は殺しの味

ピエール・シニアックの推理小説。 フランスの田舎町のレストランでウサギ料理が出る日に限って連続殺人事件が起こるのはなぜか?というミステリ。フランスの田舎町を舞台にした話なので登場人物の名前がすごく覚えづらく、また探偵役の元警察官にして私立探…

Tシャツにさようなら

Tシャツはどのタイミングで捨てたらいいんだろう。 昨夜、夕飯の後にDJをしながら3歳の娘と踊っていたら(ちなみに彼女がもっともノリノリだったのはIggy PopのLust for Lifeだった)、思いがけず汗だくになってしまった。日頃の運動不足の成果である。そのま…

美女と野球

リリー・フランキーのエッセイ。 初めての本というだけあって、あまりおもしろくない。変な人を変なままに出すのではただの奇人図鑑であり、著者独自の変換が伴ってこそ読んで面白いものになるらしい。美女と野球 (河出文庫)作者: リリー・フランキー出版社/…

怨霊になった天皇

基本的に崇徳天皇の話。百人一首の「むすめふさほせ」の「せ」を読んだ「崇徳上皇」と言った方がわかる人も多いかもしれない。 日本人は忘れがちなことだが、思えば天皇家というのは全くおかしな家で、少なくとも戦前までの1300年間(!)はある種の日本の頂…