本
食べられる機会の少ない、犬や人や土を食べる習慣について、世界にはこんな人たちもいますよ、くらいにまとめた本。私はこういった分野の経験は浅いので、概説的なものを知ることができた感じで良かった。念のために書いておくと私がそういったものを食べた…
橋爪大三郎の講演をまとめたもの。そろそろ「橋爪大三郎」というカテゴリーを作ってもいいかもしれない。 著者は宗教を「人びとが、同じように考え、同じように行動するための、装置」と定義している。人類はこれを元にして文明というグループを作っており、…
内田百閒の随筆はちくまの全集で随分読んだが、そこには入っていない随筆ばかりの、私にとって都合が良い一冊。 百閒先生の随筆には彼の身の回りの人がよく出てきて初めのうちは誰のことかわからずに戸惑う。宮城検校こと宮城道雄、ヒマラヤ山系こと平山三郎…
伊藤桂一の短編小説集。日中戦争、太平洋戦争というと歴史用語だが、当たり前だがその中の人たちにはさまざまなエピソードがあって、さまざまな思いを胸に生きていたことを改めて感じてから考えると、今度は歴史の出来事の大きさを感じる。仕事でも戦争関係…
戦後日本を占領統治したGHQが、一部の書物の流通を禁止没収していたという事実はあまり知られていない。それもそのはずGHQからの指令は「こっそりやれ」というものであった。その禁じられた面々はどのようなものであったかというのが本書。「ナチスと日本は…
岡田英弘による古代日本のまとめ。古代については古事記と日本書紀が基本とされるが、その日本書紀は天武天皇の政権が自らの正統性を固めるために書かせたものであり、このため事実を少しずつ変えているところもあるので注意が必要、というスタンス。また古…
日本史上有名な割にその実体についてよくわからないことが多い聖徳太子。よくわかっていないが故に人々によってさまざまな説を唱えられている人でもある。例えば厩戸皇子と呼ばれていたということになっているが、同じく馬小屋で生まれたとされるキリストと…
明治以降の日本におけるヒゲの扱いと存在意義について、真面目にまとめた本。ヒゲの分類などが詳しく奥の深さは感じることはできるが、ヒゲの推移や著者の考察については、へえ、という感嘆詞以上の感想はなかった。 全国1千万のひげを生やしている者は賛同…
日本の隣には中国がある。一般的には「中国四千年の味」で有名な中華三昧のイメージが強いだろうか。昭和の当時は国交正常化して間もないこともあり、それ以外の情報は少なかったのかもしれない。他には年に何度か、テレビで中国残留孤児の特番があったりし…
あれはハワイのビショップミュージアムだったか、太平洋諸国の展示を見ている時に、「世界の首狩り族」的な展示があり、代表的な首狩りを行う部族として日本と台湾が挙げられていた。台湾はなんだったか近代に反乱的なものでそのような事件があったような気…
アイヌ民族のクマ撃ちとして生きてきた姉崎さんへのインタビューを中心にまとめた本。曰く、クマは人間を恐れているので恐怖心を見せてはいけないとのことです。そらまあそうなんだろうけども、試してみるにはリスクが大きすぎるので、そう理解したからと言…
『批評の教室-チョウのように読み、ハチのように書く』をkindleで読んだ。 こんなブログをやってるくらいだから批評に興味はあって、ただし自分が書いているのはただの感想であることは承知の上だけども、文章でも映像でも作品がどのように作られたのか、ど…
実家にはなぜか昔から「しょぼくれチャーリーブラウン」というペーパーバック版があったので、スヌーピーの漫画には小さいころから親しんでいた。ついで兄が同じペーパーバック版を、おそらく中野サンプラザの古本市等で買い集めたらしく20~30冊は今でも実…
「海外留学はおろか地元の千葉からもほとんど出ない引きこもりの映画オタクが、ルーマニア語と運命的な出会いを果たし、一回も海外に行ったことがないままルーマニア文学史に名を残した話。」という本書についての説明書きがあったが、厳密にはそうではなく…
買った覚えのない本。著者の家は祖父の代から五反田あたりで町工場を営んでおり、祖父が遺した手記を通じて戦中戦後を生き抜いた家族と舞台である五反田界隈をまとめた本。ドキュメンタリーなのかな?私の父は戸越銀座あたりの生まれなので、郷愁を感じて買…
新作が出ると聞いて、そういえば買ってあった村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読んだ。今回の作品は友達の輪から外された主人公が立ち直る過程で出来事の真相を究明しようとする、珍しくミステリ要素のあるお話であった。ただそれ…
先日取材で南の島にいらした記者の方にいただいた本。 農家の天井裏から“発見”された、正史にない古文書「東日流外三郡誌」が世に出てから騒動が終息するまでを追ったノンフィクション。長期間にわたった騒動をまとめているので登場人物が多いが、その割には…
Kindleの無料のシャーロック・ホームズを読んでいたら他のも読みたくなったので購入した第二の短編集。ただしKindle本(翻訳は戦前文壇の寵児・三上於菟吉)のような読みづらい文体ではないので若干拍子抜け。モリアーティ教授と対峙する「最後の事件」収録…
" data-en-clipboard="true"> Kindleの無料のシャーロック・ホームズを読んでいたら他のも読みたくなったので購入したシャーロック・ホームズ最初の短編集。アイリーン・アドラーが登場する『ボヘミアの醜聞』、有名な『まだらの紐』はこの短編集に入ってい…
逢坂冬馬の長編小説デビュー作。第二次大戦におけるソ連の少女狙撃兵の話。すごく研究してる感があり、終始『戦争は女の顔をしていない』を彷彿とさせるよなと思っていたら最後の最後に出てきて驚いた。ソ連というかロシアは今ちょっとアレな国で良いことば…
ちょっと前に流行った本。古い知識や思い込みは変なバイアスをかけてしまうことになるので、事実を押さえて情報のアップデートをしようという話。付け加えるなら統計は全体像を把握するには良いけど中央値を実像だと思い込んでしまうという弊害もあるので、…
ロシア政府による日本への報復措置によりロシアに入国禁止になって喜んだことで話題となった中村逸郎の新書。基本的には著者のロシアにおける思い出エッセイ。ロシアの国民性と共にロシアへの愛情も伝わってくる。 ロシアを決して信じるな(新潮新書) 作者:…
日本各地に伝承のあるキツネ憑き、イヌガミ憑き、オサキ憑きなどについて詳しい実例を挙げて、差別の原因に狭い社会における妬み嫉みがあることを明らかにしている。この分野では有名な一冊(らしい)。オサキの外観はオサキギツネだったりイタチのような動…
岡田英弘の妻、宮脇淳子の新書。モンゴルについてはチンギス・ハンがモンゴル帝国を作り、孫のフビライが元を作り、勢い余って日本に攻めてきた、くらいしか学校で学ばないが、モンゴル帝国から元に至るまでをざっと説明しているのでモンゴルの入門書に良い…
アンディー・ウィアーのSF長編。記憶をなくした男が目覚めるところから物語は始まる。少しずつ記憶が戻る中で人類を救うミッションに挑む姿はミステリ的な謎解きとSFがうまく溶け合っていて良い。オススメ。 プロジェクト・ヘイル・メアリー 上 作者:アンデ…
橋爪大三郎と大澤真幸の対談。西洋社会の根幹をなすキリスト教について、わかりやすく解説してくれる一冊。キリスト教と言っても範囲は広いので何から何までとはいかないが、根本的な疑問についてはかなり応えられていると思う。以下面白かった内容を箇条書…
森博嗣のミステリ。 登場人物の名前は重要で、小説においては特に、特殊な苗字が多いと冗談になってしまう。漫画の場合はその限りではないので、自分勝手なルールであるとは思うがそう感じてしまうので仕方がない。実際にはあまりにも個性的な人物を揃えすぎ…
昨年末から体調を崩して煙草の量は半分以下に減っていたのだけども、3月くらいから今度は完全に止めてみた。意外と吸いたくはならないが、28年にも渡り続けていた習慣なので違和感は大きい。最近ようやく落ち着いてきたような気はする。体調は目に見えてよく…
このところ目が痛かったり耳が痛かったりといろいろ忙しく、なかなか十分に眠れないことが続いている。眠れない時は本を読むのだが、kindleだと部屋を暗くしたまま読めるので、眠くなったらそのまま眠れるので良い。おかげでシャーロック・ホームズの短編を…
新しい携帯は私のタブレットと比べても容量が大きいので、今まで入れられなかった(入れても動作が遅すぎて使えなかった)kindleをインストールし、青空文庫でいろいろとダウンロードしている。シャーロック・ホームズや夏目漱石が全部無料で読めるというの…