歴史

古代は輝いていた〈1〉『風土記』にいた卑弥呼

以前読んだ本のシリーズ。内容は、出雲の国譲りは旧政権から新政権への政権移動、もっといえばアマテラスたちは出雲政権に属す、対馬あたりの人たちであり、その後アマテラス勢力は筑紫を中心に台頭し、邪馬台国を形成していったのではないか、という話。ち…

はじめての民俗学

民俗学とはどういうものか。ハレとケとはどういうものか、柳田国男と折口信夫の考え方はどう異なるのか、基本的なことを教えてくれる。民俗学は古いもの、田舎に遺るものから掘り起こすもの、というイメージがあったが、もちろんそれも大事だが、都市に人が…

屋根の日本史

竪穴式住居から城郭まで、屋根職人が語る文字通り日本の屋根の歴史。当たり前だが屋根の見方が違う。 例をいくつか挙げると、例えば、瓦屋根は仏教伝来と共にやってきた当時の最新技術であった。にもかかわらず一般に普及しなかったのは、堅固な瓦は同時に防…

異形にされた人たち

塩見鮮一郎による、徳富蘆花が貧民窟を訪れた話をまくらにした書き下ろしのほか、被差別民についてを主としていろいろまとめた本。 話題は多岐にわたるが、サンカ、穢多、非人、長吏、その他「四民平等」で忘れられた、かつて差別された「異形の人」たちを追…

古代は輝いていた〈2〉日本列島の大王たち

万世一系を建前とする日本の王朝だが、歴史の遺物をつぶさに調べると九州に大和王権とは別の王朝が浮かび上がってくる。資料として挙げられるものを見る限り著者の九州王朝説は無理な話ではない。もっとも不利な証拠は並べないだろうからそう思えるのも無理…

なぜ八幡神社が日本で一番多いのか

島田裕巳の新書。 通っていた小学校の裏の方に八幡神社があったので、自分にとっては八幡神社、もしくは沼袋や高円寺にあったので氷川神社あたりが身近だが、世の中にはいろんな神社があるんですね。 副題の「最強11神社」というのはバカっぽいので外した方…

日本人と日本文化

司馬遼太郎とドナルド・キーンの対談。両者の初対談。内容は濃いが読みやすい。司馬遼太郎が披露する歴史のエピソードを訂正できる外国人なんて、ドナルド・キーンぐらいのものではなかろうか(適当)。当人同士は初めてにもかかわらず古い知己と語りあって…

歴史とは何か

E・H・カーの新書。E・H・カーが1961年にケンブリッジ大学にて行った講演を文章化したもの。 カー曰く、 歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話である 基本的にこの言葉を本一冊にわたり長長と…

戊辰戦争 裏切りの明治維新

星亮一の書き下ろし。著者は仙台の出身で奥羽越列藩同盟側から見た戊辰戦争がライフワークの模様。 戊辰戦争は薩長側からの視点と幕府側(特に新撰組周辺)からの視点についてはおおむね了解していたが、奥羽越列藩同盟の成り立ちについては私の中で靄がかか…

米・百姓・天皇 日本史の虚像のゆくえ

網野善彦の「日本社会の歴史」を下敷きにした対談。 日本の歴史と一口に言うが、その日本とは何なのか。通り一遍の解釈から生まれる「日本」という虚像に抗うべく、表題のキーワードの他、国号について、差別について、米をありがたがっていれば日本人なのか…

日本の神話・伝説を読む―声から文字へ

佐佐木隆の新書。 「古事記」や「日本書紀」を読むとまず気づくのは神様の名前の長さである。アメノニギシクニニギシアマツヒコヒコホノニニギとか。ちなみにアメノニギシ・クニニギシ・アマツヒコ・ヒコ・ホノニニギと読むと読みやすくなるが、それでも日本…

逝きし世の面影

江戸時代は武士がのさばり農民や町民はひれ伏していた時代だったのだろうか?そのような重苦しい時代がなぜ260年も続いたのだろうか?幕末に日本を訪れた異邦人たちはその答えを残していてくれたのである。今は滅んでしまったが、人々が明るく暮らし、全く異…

日本史鑑定

高橋克彦と明石散人の対談。 高橋克彦はなんだったか怖い話と、あともう一冊、ミステリぽいものを読んだことがある気がする。明石散人という人は読んだことなかった。しかしこの人は頭の周りは早いんだろうけども押し付けがましいというか、僕が僕がとうるさ…

文明崩壊 上・下

ジャレッド・ダイアモンドの、こういうのはなんというんでしょう。本。 上巻で現代のモンタナと崩壊した過去の文明社会(イースター島、ピトケアン島、アナサジ、マヤ、アイスランド、グリーンランドなど)を、下巻で問題を解決して乗り越えた文明社会と現代…

日本社会の歴史 上・中・下

網野義彦の新書。 いわゆる「日本の歴史」と異なるのは、国単位でなく日本列島とその周辺における人の営みの歴史をまとめている点と、従来見落とされがちだった、農業以外に従事していた海民や職能民などにも注目し、時の中央政権から被差別民まで、できるだ…

謎解き関ヶ原

桐野作人の新書? 日本史上最大の戦、関が原の戦いにまつわる謎について書いた本。五大老五奉行制は本当にあったのか?とか、いまさらな感のある話もあるが、利家亡き後の前田家の動きとか、おもしろい話もいくつかあった。著者は鹿児島出身で島津への思い入…

誰が歴史を歪めたか―日本史の嘘と真実

井沢元彦の対談集。 対談相手は梅原猛/森浩一/陳舜臣/小松左京/小室直樹/高橋克彦/田中優子/山本夏彦/半藤一利/呉善花の10名。いずれも著者の言いたいことを代弁させて、「ですよね!」と話を引き出す感じが強い。 関係ないけども江戸時代の話のあたりで森銑…

「常識」の日本史

井沢元彦の単行本。「逆説の日本史」から抜粋したような本。例えば「日本書紀が信用できるかどうか」という問題を、「企業の創業者が身内に書かせた社史を信じられますか?」と卑近な例えに置き換えてわかりやすく解説。歴史学者が「常識」を見落としている…

石田三成

小和田哲男の新書。 石田三成については秀吉のブレーンというか実務係?で太閤検地の際などに活躍、あとは関が原の西軍首謀者くらいにしか知らなかったのだが、それは徳川家による情報操作の疑いが強いのだそうな。確かに島左近と並んで称えられた佐和山の城…

豊臣秀吉

小和田哲男の新書。 ちなみにこの本も1年ぐらい前に買って積読されていた一冊。 信長から政権を受け継いだ豊臣秀吉の時代というのは、なんというか後の江戸時代と比べてすごく華やかであった。考えてみれば彼の人生の転機も最大のピンチは本能寺の変かと思…

戦国武将

小和田哲男の新書。 「似たような本ばかり読んでるけど、いまさら戦国武将の何を知りたくて読んでるの?」という妻の質問に返答できず。本によっては新しい説があったりするのだが小和田哲夫の本はもう何冊も読んでるので、確かにいまさらという感じはする。…

戦後 歴史の真実

第1章「東京裁判は白人によるいじめ」 第2章「大東亜戦争はアメリカのせい」 第3章「原爆マジやばい&ひどい」 第4章「憲法を変えよう」 第5章「ちゃんと教育しろ」 第6章「マスコミふざけんな」 第7章「官僚キライ」 第8章「がんばっていきまっしょ…

考証武家奇談

時代考証の第一人者と言われた著者によるエッセイというか、昔話。御庭番と隠密と忍者の違いとか。一つのことに打ち込んだ人の話は偏っていて楽しい。考証武家奇談作者: 稲垣史生出版社/メーカー: 時事通信社発売日: 1980/05メディア: 単行本この商品を含む…

天皇のものさし―正倉院撥鏤尺の謎

正倉院に納められていた宝物の一つ、撥鏤尺(ばちるじゃく)の謎。 撥鏤尺は天皇のものさし、つまり国の度量衡の元となる原器である。これの詳しい解説に加え、正倉院に納められていたにもかかわらず増減する謎と、失われた撥鏤尺の行方にかかわる怪しい人物…

歴史とはなにか

岡田英弘の新書。 「歴史とはなにか」とはずいぶん大きく構えたものだが、この本では本当に「歴史とはなにか」について語っている。 本書ではまず第一部「歴史のある文明、歴史のない文明」でなにが歴史かということについて「なにを歴史として認識するか」…

知れば恐ろしい日本人の風習

古来日本人が恐れていたものへの傾向と対策としての「しきたり」「言い伝え」について、お坊さんがまとめたもの。なんとなく説教くさいというか、法事の後の法話?のような雰囲気。読みやすいけども、もう少し突込んだ話が読みたいところ。知れば恐ろしい日…

レンズが撮らえた幕末日本の城

日本の城の幕末から戦前にかけての古写真集。 復元された城郭が美しいことは言うまでもありませんが、長く風雪に耐え、ゆがみ崩れた城郭の姿もまた時代の重さを感じさせる美しいものであります。今は存在しない姿を記録にとどめてあり、いつでも見ることがで…

最後の幕臣 小栗上野介

小栗上野介の生涯、と思ったら主に家族の逃避行の話と、いかに素晴らしい人物だったかという話だった。最後の幕臣 小栗上野介 (ちくま文庫)作者: 星亮一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/08/06メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (4件)…

戦国大名

小和田哲男の新書。 最近の流行に乗った本よりも小難しい感じはあるが、戦国大名はどこから発生したか、その発生と分類について詳しい。戦国大名 (歴史新書―日本史)作者: 小和田哲男出版社/メーカー: ニュートンプレス発売日: 1985/10メディア: 新書この商品…

戦国 三好一族―天下に号令した戦国大名

戦国時代近畿地方に覇を唱えた三好一族について。 その頂点である三好長慶は、室町幕府の陪臣としてデビューしてのし上がってきたわりに、その機会を得ながらも天下を簒奪するまでにいかない、いまいち思い切りの悪い、流されやすいトップというイメージがあ…