山岡鉄舟の口述をまとめ、勝海舟の評論を加え、解説してもとめたもの。
そのまとめにもあるように、本書は哲学書というほどきっちりしたものではない。幕末を生き、大悟した山岡鉄舟の、頭の中をちょっと覗いてその目指すところを語ったものであり、それ以上のものではないのだが、それを勝海舟の軽妙洒脱な評論付きで読めるのはなんとも贅沢である。
面白かったのは以下。
人を教育するのに権利の方向から小理屈ばかりいいならわせてどうするのだ。このようでなくてさえ、義務などとてわが身に不便利なものは、教えてさえも知らん顔をしたがるものよ。故に教育家というものは、すべて義務から先に教えて、人間の土台が建ちあがってから、あとはいわずとも土台の上に家の立つことは察しのつくものだ。
- 作者: 山岡鉄舟,勝海舟,勝部真長
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1971/06
- メディア: 単行本
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