プロフェッショナルは素人には及ばないところまで考えていてほしいという願望。

 今年の夏は日本に帰ることができない。もちろん巷で流行っているCOVID-19、新型コロナウイルスの影響である。今現在日本が入国可能なのかどうか知らないが、マーシャルの入国禁止が解除されない限り再入国ができないので出国するわけにはいかない。もっともその入国禁止措置のおかげで、世界でも数少ないコロナフリーを維持できているので、日常生活に変化はなし、物流も若干遅れながらも回っているので不便はなし。ここだけコロナ前の旧世界が続いていると考えることもできる。100年に一度の歴史的大イベントに参加していると思えば腹も立たない。
 もっともコロナが無くてもそこは南の島、生活する上で不便はある。例えば頻発する停電。月に2回くらいは計画停電がある。朝9時から夕方5時まで。晴れの日の午後などはかなり熱くなるので勘弁してほしいところだが、メンテナンスを怠って電気が使えなくなるよりはと、あきらめるしかない。きっと電力会社のプロフェッショナルが様々な工夫した上でなお、どうしてもメンテナンス上、電気を切らざるを得ないのだろう。そう思えばこそ、というところなのであるが、さっき聞いた話では停電が始まって1~2時間くらいたった頃にメンテナンスに向かう電力会社のトラックを見かけたらしい。遅いだろ。せめて電気を止めてる時くらいはしっかり働いてほしい。
 

タイピスト!

監督:レジス・ロワンサル(2012 仏)
出演:ロマン・デュリス、デボラ・フランソワ
女性にとって大人気の職業が秘書で、さらにタイプライター早打ち大会に勝つことが最高のステータスだった1950年代のフランス。田舎出身のローズ(デボラ・フランソワ)は保険会社の秘書に採用されるが、ぶきっちょで失敗してばかり。そんな彼女の唯一の才能であるタイプ早打ちに目を付けた上司ルイ(ロマン・デュリス)は、二人で協力し、タイプ早打ち世界大会に出ないかと提案する。Yahoo!映画より)


映画『タイピスト!』予告編

 

 1950年代、フランスの田舎町の女の子が都会に出てタイピストになり、早打ち選手権で優勝を目指す話。タイプしか能のない主人公が上司に鍛えられるうちにお互いに特別な存在になるという、よくある話であるが、早打ち大会の場面はなかなかエキサイティングで楽しかった。音楽も軽快。ただ子供も見れそうなラブコメディということで(制限なしのレーティングG)見たので、ラブシーンをもう少し早めに切り上げてくれるとなお良かった。
 50年代フランスというとジャック・タチの映画に出てくる時代で、服も車も部屋の調度もカッコいい。特に車はパリの全国大会の場面でたくさん走っていたが、よく集めたものだ。戦後すぐだからいろいろ大変なことはあっただろうけど、いい時代である。

現代民話考〈9〉木霊・蛇・木の精霊・戦争と木

  松谷みよ子によって集められた明治以降の民話集その9。今回のテーマは木霊・蛇等等。

 蛇はヤマタノオロチを引き合いに出すまでも無く、元より生と死の象徴だったり神の使いだったり信仰の対象であり、身近な存在であるので話例も多い。驚くのは大蛇の話が多いことで、想像していたよりも大蛇が身近な存在であったようだ。少なくとも「いるかどうかわからない」ではなく、「知り合いが経験した」くらいの感じで、現代でいう「芸能人を見た」くらいの、いることは間違いない(でも自分は見てない)くらいのレベルの存在感だったようだ。蛇に呑まれた人が助かった話では、呑まれた人の耳が溶けかかっていたとかリアルな描写もあって恐ろしい。東京都の話も多いのも、身近な感じで良い。

 

現代民話考1 河童・天狗・神かくし

 日本民話界のエース、松谷みよ子によって集められ編集された現代の民話集。それぞれのテーマについて日本各地から集められた話が話者の口調そのままに収められている。
 河童の話は全国から集められており実際に見たという話も多いが、天狗は気持ち東寄り、また実体験よりもこれこれこういうことがあって天狗の仕業だと言われている、というスタイルが多かった。
 河童も天狗も(神隠しも)、何かしら説明のつかないことへの当時の人々による解釈の一つではあるが、広い範囲で同じような反応を引き起こす何かしらは実際に起きていたようで、それが本当に河童や天狗のようなものであったら面白い。またそうでなくても、仮託するのにそういった生き物を生み出していたと考えても面白い。

 

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

監督:デヴィッド・イェーツ(2018 英=米)

ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、学者として魔法動物を守るため、不思議な空間が広がるトランクを手に世界中を旅している。ある日、捕まっていた“黒い魔法使い”グリンデルバルド(ジョニー・デップ)が逃亡する。ニュートは、人間界を転覆させようと画策するグリンデルバルドを追い、魔法動物たちと一緒にパリの魔法界へ向かう。Yahoo!映画より)  


映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』本予告【HD】2018年11月23日(金・祝)公開

  前作で新シリーズのお披露目が済み、今作ではグリンデルバルドの話が動き出した。次から次へと新キャラ新事実が出てくるので処理が追いつくのが大変だが、一度整理できればははーんなるほどと知った風な顔をすることができる。グリンデルバルドは「非魔法使いの人間を放っておくとエラい目にあうぞ」「魔法使いだけで自由にやるぞ」という主張で仲間を増やす。ナチスドイツのやり方と似ているのは偶然ではあるまい。いつの時代も悪役とは目的がはっきりとしていなければならない。
 逆に善玉陣営は隠し事ばかりしているので話がややこしい。ダンブルドアはグリンデルバンドとの関係を公けにしていればそもそも魔法省に疑われないし、リタ・レストレンジもややこしいことをしていなければ、少なくとも彼女のしたことが露見していれば、そもそも前作におけるクリーデンスの大暴れもなかったかもしれない。ちなみにこの映画を見た後、長女があまり内容を覚えていないと『謎のプリンス』『死の秘宝』をリクエスト、さらに長男がどうせなら最初からと『賢者の石』『秘密の部屋』から見直し、我が家ではハリーポッター人気が再燃しているが、いずれの作品でも善玉陣営には同じ傾向がみられる。というかダンブルドアが秘密主義なのか。その後を継ぐハリーポッターにも同じ傾向がみられる。こうして人間は同じ過ちを繰り返す。
 なんにしても今回の話で善悪両陣営の顔触れははっきりとしたので、次回作でダンブルドアとグリンデルバルドの対決が描かれることだろう。ハリー・ポッター作品から見て過去の話なので、既に判明しているの勝負を描いて盛り上げるのはなかなか難しいと思われる。意外性をどう盛り込んでくるかが見所である。

 

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

監督:デヴィッド・イェーツ(2016 英=米)
出演:エディ・レッドメインキャサリン・ウォーターストン、ダン・フォグラー、アリソン・スドル、エズラ・ミラーサマンサ・モートンジョン・ヴォイトカルメン・イジョゴ、ロン・パールマンコリン・ファレルジョニー・デップ

魔法動物学者ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、魔法動物の調査と保護のためニューヨークを訪問する。ある日、彼の魔法のトランクが人間のものと取り違えられ、魔法動物たちが人間の世界に逃亡してしまう。街中がパニックに陥る中、ニュートはティナ(キャサリン・ウォーターストン)らと共に追跡を開始するが……。(Yahoo!映画より)

 


映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』90秒予告【HD】2016年11月23日公開

 

 ハリー・ポッターの新シリーズ、と言っていいのかどうか知らないが、あの世界とつながっている話。20世紀初頭のニューヨークを舞台に魔法動物学者が右往左往する。巻き込まれるのは一般人ジェイコブとアメリカの魔法使い姉妹。観客は一般人ジェイコブと一緒に魔法や魔法動物を体験する形になるが、それがちょっと、魔法世界のあれこれよりも話の筋が気になる派としては長く感じた。ファンタジー作品は細部が肝心であり、ハリーポッターシリーズが優れている点でもあるが、人が関わるモノ(道具とか)以外はわりとどうでも良くて、その最たるものが魔法動物なのである。見る人すべてが私と同じとは限らないので、魔法動物が気に入ったという向きもあるだろうが、私にはあまり。
 それからメインキャストである主人公の動物学者、それを捕まえようとして話に巻き込まれていく闇払い崩れ、いずれも華がない。主人公に至っては思わせぶりな行動ばかりで、何がしたいのかもよくわからない。正確にはその目的は少しずつ明らかになるが、全ては周りに流された結果と思えなくもない。『謎のプリンス』『死の秘宝』でも似たような傾向が見られたので、もしかしたらそういうのが監督の好みなのかもしれない。
 気になった点を先に挙げたが、全体的には魔法世界の雰囲気をぶち壊すことなく、同じ世界のつながりも示しつつも新しい話を展開しており、シリーズ続編としての最低ラインはクリアしているように思う。もっとも原作者が脚本を書いたとのことなのでその辺のチェックは厳しいのだろう。また物語は最後に敵の正体が明かされ、お前かー!という驚きと、今まで散々持ち上げてきたダンブルドアに匹敵する悪役ということを考えたら確かにこの人くらいしかいないよね、という謎の満足感を得られ、そのまま次作への期待となった。こういうところはうまい。 

 

 

ぼっけえ、きょうてえ

岩井志麻子のホラー短編集。
タイトルにもなっている「ぼっけえ、きょうてえ」は岡山弁で「すごくこわい」という意味だそうである。収録されているのは、女郎が客に身の上話を聞かせる「ぼっけぇ、きょうてぇ」、流行り病の対策担当となった役人の話「密告函」、浜の忌地“あまぞわい”にまつわる亡霊が漁師村に嫁いだ女を呪う「あまぞわい」、小さい時から見える牛におびえながら生活する女の子の「依って件(くだん)の如し」以上四篇。どの話も人間の情念がこびりついていて、ホラーという言葉では済まされないものがある。オススメ。としたいところだが人によっては好きでなそうな話もあるのでおすすめはしない。
好きでなさそうな話というのは、例えば奇形であったり暴力であったり近親相姦であったり。そういった、怪奇に片足を突っ込んだような話が好きなのは、ケガレたものが確かにあった時代の風景とはどういうものであったのか、という高尚?な気持ちと、わざわざ見るものではないとわかっていながら気になって見てしまうような下世話な好奇心があって、これらはつまるところ同じ穴の狢である。自分でもそういう好奇心が人より多めなのかもしれないと自覚はしているが、そういったものすべてにフタをして、なかったことにする現代についてはいかがなものかと思わないでもない。逆に言えばフタをするようなものすなわちケガレと考えている現代人の反応は、ハレとケの思想がしみ込んでいるからこそのものといえるかもしれない。といってフタを開けて臭いものを引っ張り出して白日の下にさらすつもりもなく、どういうつもりかと言えばただ博物館でミイラでも見ているようなこころもちと言ったら近い。
ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)

ぼっけえ、きょうてえ (角川ホラー文庫)