2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧
カズオ・イシグロの長編小説。主人公悦子は長女を亡くし、帰省した次女と暮らしながら長女が生まれる前の出来事に思いをはせる。 読者が知りたくなる前後の事情の説明はほとんどないが、それだけに登場人物それぞれの価値観の衝突が、つよく心に残る。悦子の…
池井戸潤の小説。 小型エンジンメーカーの社長がロケットエンジンの部品製造に携わる話。目先のお金よりもロケットへの部品供給という夢を追う姿が描かれるが、残念ながら始めから終わりまで予想を超える展開は無し。わざとやってるんだろうけど、教科書的な…
宮部みゆきの長編群像劇。真相が最後までわからないという意味ではミステリ。 文庫で6冊。1と2が一部で事件の概要、3と4が二部で裁判の準備、5と6で裁判開始、と長い。長いけどもその分、事件と裁判に関わる人たちはしっかりと描かれており、登場人物は多…
塩見鮮一郎による、徳富蘆花が貧民窟を訪れた話をまくらにした書き下ろしのほか、被差別民についてを主としていろいろまとめた本。 話題は多岐にわたるが、サンカ、穢多、非人、長吏、その他「四民平等」で忘れられた、かつて差別された「異形の人」たちを追…