新書

『批評の教室-チョウのように読み、ハチのように書く』北村紗衣

『批評の教室-チョウのように読み、ハチのように書く』をkindleで読んだ。 こんなブログをやってるくらいだから批評に興味はあって、ただし自分が書いているのはただの感想であることは承知の上だけども、文章でも映像でも作品がどのように作られたのか、ど…

著者LOVESロシア『ロシアを決して信じるな』中村逸郎

ロシア政府による日本への報復措置によりロシアに入国禁止になって喜んだことで話題となった中村逸郎の新書。基本的には著者のロシアにおける思い出エッセイ。ロシアの国民性と共にロシアへの愛情も伝わってくる。 ロシアを決して信じるな(新潮新書) 作者:…

キツネ、イヌガミ、オサキ『日本の憑きもの』

日本各地に伝承のあるキツネ憑き、イヌガミ憑き、オサキ憑きなどについて詳しい実例を挙げて、差別の原因に狭い社会における妬み嫉みがあることを明らかにしている。この分野では有名な一冊(らしい)。オサキの外観はオサキギツネだったりイタチのような動…

『世界史の中の蒙古襲来』宮脇淳子

岡田英弘の妻、宮脇淳子の新書。モンゴルについてはチンギス・ハンがモンゴル帝国を作り、孫のフビライが元を作り、勢い余って日本に攻めてきた、くらいしか学校で学ばないが、モンゴル帝国から元に至るまでをざっと説明しているのでモンゴルの入門書に良い…

キリスト教への疑問を解決します『ふしぎなキリスト教』橋爪大三郎/大澤真幸

橋爪大三郎と大澤真幸の対談。西洋社会の根幹をなすキリスト教について、わかりやすく解説してくれる一冊。キリスト教と言っても範囲は広いので何から何までとはいかないが、根本的な疑問についてはかなり応えられていると思う。以下面白かった内容を箇条書…

『批評理論入門』廣野由美子

私がここに書いているのは感想であって批評ではない。そんなことは百も承知であるが、では批評とはどのようなものかということで読んでみた新書。メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』を例に「小説技法」と「批評理論」について説明。大学で勉強し…

「もののけ」と人々の反応の変遷『もののけの日本史』小山聡子

それぞれの時代の「もののけ」という言葉の使われ方、意味を通して「もののけ」とは何かを探る。 「もののけ」とは本来「物の気」で、なんだかよくわからんものをまとめてそう呼び、調伏したり供養したりの対象となった。時代が下がるにつれて幽霊・魂魄・ば…

『日本は誰と戦ったのか - コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ』江崎道朗

『スターリンの秘密工作員』という本を紹介した本。太平洋戦争は日本の侵略戦争だったのか。機密文書などが公開されるにつれて太平洋戦争におけるアメリカの判断は正しかったのかを検証する動きがあり、実はソ連の工作によるところが大きかったようだ、とい…

明治の人間の新しい世に対する気概が感じられる『学問のすすめ』福沢諭吉

「天は人の上に人を作らず~」で有名な福沢諭吉の本。読み終わってから出版社が幸福の科学であると気づいた。それでも内容は普通のと変わらないでしょうたぶん。 ちなみに先述の言葉は有名であるが、平等主義の言葉ではなく、人は生まれてきたときは平等だけ…

主に怠惰から年内に感想をまとめられなかった本たち。

" data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> 様様な事情により感想をまとめられなかった本がある。今年のものは今年のうちに何とかしてスッキリしたいので、下記に。 ハワイ・南太平洋の神話―海と太陽、そして虹のメッセージ (中公新書) 作者:…

漂流記の魅力

吉村昭の新書。漂流記とは、主に江戸時代に盛んだった船による運搬につきものの漂流についての記録である。多くは帰還者からの聞き書きが多いらしい。本のタイトルからして漂流記全般について語るのかと思いきや、2章以降は江戸時代、若宮丸が漂流してロシア…

イギリス近代史講義

イギリスにおいて、どのようにして都市が形成され、どのように世界の需要に対応し、どのように工業化してきたか、という本。おおむねわかりやすい。本書で「成長パラノイア」という言葉が出てくる。未来は過去より便利で豊かで成長していなければならない、…

驚きの英国史

ノルマン・コンクエスト、マグナ・カルタ、アーサー王、アイルランド問題、フォークランド紛争といった英国史の出来事がイギリス(主にイングランド)人にとって、どういう意味を持つかということをまとめた本。どのエピソードも読みやすく面白くまとまって…

歴史の余白 日本近現代こぼれ話

歴史と聞いて思いつくのは、授業で習う国の歴史というか歴史の表通り。しかし全てのものには歴史があって、表通りに対して裏通りというか、重要ではないかもしれないがそういうものもあるということは頭の隅に入れておきたい。ちなみに余白を埋めていくよう…

知の武装~救国のインテリジェンス 

世界の「解読法」、教えます。ニュースを鵜呑みにしていては、その「深層」はつかめない。激動の世界を生き抜くには、知性〈インテリジェンス〉が必要だ――東京五輪と舞台ウラ、金正恩の本音、プーチンの「倍返し」、安倍首相の「誤解」、CIAの内側など、最新…

メルヘンの深層

シンデレラや赤ずきんちゃんの物語から魔女裁判、人間狼、子捨てなど、ヨーロッパ社会の忘れられた実像が見えてくる。(amazonより) メルヘンな童話を様々な視点から見直す。 メルヘンの深層―歴史が解く童話の謎 (講談社現代新書) 作者: 森義信 出版社/メー…

日本の古代道路を探す―律令国家のアウトバーン

日本の古代道路について、どのように計画され機能していたか、またどうやって探すかまで丁寧に書かれている。フィールドワークの方法まで書かれている本は初めて読んだ。タイトルに偽りなし。面白かったのは上総/下総の国名の逆転について。というのは、国の…

倭の五王

5世紀頃の中国の登場する倭国の五人の王、讃、珍、済、興、武について、それぞれの時代のアジアの状況や歴史書を細かく見直しつつ、日本の元となったであろう勢力について、考察を重ねている。誰がどれに比定されるのかというのがもっとも興味のあるところだ…

風土記からみる日本列島の古代史

「風土記の世界」より、もう少し内容について詳しい本。そこに描かれる神々の姿や人々の生活について詳しい。 何かの本で卑弥呼の正体とされていたミカヨリヒメがちょっとだけ出ていた。 新書883風土記から見る日本列島の古代史 (平凡社新書) 作者: 瀧音能之…

風土記の世界

日本で最も古い書物と言えば「古事記」「日本書紀」が挙がるが、「風土記」もまた713年に発せられた命令への地方からの回答(解)なので、回答時期によっては「日本書紀」よりも古いものもあったかもしれない。かもしれないというのは「風土記」のほとんどは…

ハーバード日本史教室

ハーバード大学の教授陣へのインタビュー。日本について勉強している人たちだけあって、示唆するところは的を射ている。ただインタビュアー(著者)の日本上げがひどく、興醒め。せっかくの機会なんだからもっと面白いこと聞けよ、という。 ハーバード日本史…

東大生が身につけている教養としての世界史

実は世界史をちゃんと勉強したことがない。高校の授業で少しやったくらいで、覚えているのは担当のシロタ先生がすごく優しく教える先生だったこと、なぜか「イスラム教の開祖はマホメットではなくムハンマド」ということだけには異常なまでのこだわりを持っ…

女系図でみる驚きの日本史

古典好きな著者が古典を読みつつ作っていた系図から見ることのできる驚きの日本史。中世は胤よりも腹が重視されていて、女性の地位の低下と思に胤重視の現代に至る、という話を雑学多めでお伝えする新書である。内容は下記の通り。 平家は本当に滅亡したのか…

ヨーロッパ「近代」の終焉

ヨーロッパの歴史をざっくりと再確認した上で、これまでのさまざまな認識が限界を迎えていることから、新しい時代に入って色々考えなきゃならんよね、という本。 1992年の本だから、古く感じる面もないではないが、現代に至るまでに変わった点が少ないのか全…

差別と日本人

野中広務と辛淑玉の対談。 部落差別を受けてきた野中さんの話を中心に、日本における差別の話。基本的に辛さんが日本を叩きたいだけのようにも思える。 部落差別というのは関東ではあまり馴染みがないけども、確かに存在した話であって風化しないよう努める…

あなたの知らない千葉県の歴史

あなたの知らない千葉県の歴史 (歴史新書)作者: 山本博文出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2012/07/05メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログを見る

哲学の謎

哲学の問題を哲学の初心者とそうでもない人の対話篇。 昔の本はこういうスタイルが多くあったと聞くので、著者もその真似をしたかったのだろう。対話という形は事実を並べられるよりも頭に入りやすいように思う。それが頭にしっかりと残るかといえばそれはそ…

世間とは何か

「中年男性ってどうしてあんなに汚らしいのですか」という女子学生の問から始まる「世間」探求の書。 歌に詠まれた世間、徒然草における世間、真宗教団における世間、西鶴の作品にみられる世間、漱石や荷風にとっての世間、等々、様々な角度から世間というも…

知らないと恥をかく世界の大問題5

100円なら読んでみようと買った、池上彰の本。 目次で気を引いたのは原発関連の話題。実際テレビまたは大きいマスコミだけでは実像のよくわからない話題は多い。私は海外に住んでいるので、日本のテレビがどのような報道をしているかは実感できないが、一時…

翻訳夜話

翻訳者・柴田元幸が授業に村上春樹を呼んで、翻訳について、主語について、意訳について等々、翻訳にまつわる諸々を語りあった内容をまとめたもの。それぞれが訳したレイモンド・カーヴァー、ポール・オースターの短編が、原文付きで巻末に収録されていて面…