中国四千年の歴史の真実『中国文明の歴史』岡田英弘

 日本の隣には中国がある。一般的には「中国四千年の味」で有名な中華三昧のイメージが強いだろうか。昭和の当時は国交正常化して間もないこともあり、それ以外の情報は少なかったのかもしれない。他には年に何度か、テレビで中国残留孤児の特番があったりした。子供ながらに中国四千年のイメージとつながらないと思ったものである。私の中では中華三昧に加えて、孫悟空三国志水滸伝あたりを下敷きに、司馬遼太郎宮城谷昌光等を読んだくらいの知識しかなく、中華思想のもとに隋唐宋元明清と王朝が変わっていった後に近代化、共産化、そして現代にいたるという認識だった。

 実際には(というか著者の主張では)かなり早い段階から漢民族だけでなくトルコからウイグル女真族モンゴル族などの新勢力がまじりあっていたこと、モンゴル帝国の登場でアメリカとアフリカを除くほとんどの大陸地域で政治と経済が影響を受けていたこと、そしてこれらが現代まで続いている、という内容で、抱いていたイメージしていたものとはだいぶ異なる現実があった。また日清戦争で清が敗れ、現代化という名の西欧化を決意した時にこれらの中国文明の時代は終わった、というのも言われてみればなるほどと納得のいくものだった。歴史が好きな人にはオススメ。