2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

1Q84

村上春樹の長編小説。 村上春樹は作品に全てのアウトプットを注ぎ込む。特設サイトで見た著者と読者のやり取りを読んだ上で『1Q84』を読み、そのように感じた。 著者は小説を書かざるを得なくなって書くという。自分の中に溜め込んださまざまな物事を吐き出…

歴史とは何か

E・H・カーの新書。E・H・カーが1961年にケンブリッジ大学にて行った講演を文章化したもの。 カー曰く、 歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話である 基本的にこの言葉を本一冊にわたり長長と…

ミーハー

何かで「ミーハー」という言葉を読んで、気になって調べてみた。意味を知らないほど若いわけではないが、語源を知らなかったので。そして驚いた。 ミーハーとは、1927年(昭和2年)に公開された松竹映画『稚児の剣法』でデビューした林長二郎(後の長谷川一…

戊辰戦争 裏切りの明治維新

星亮一の書き下ろし。著者は仙台の出身で奥羽越列藩同盟側から見た戊辰戦争がライフワークの模様。 戊辰戦争は薩長側からの視点と幕府側(特に新撰組周辺)からの視点についてはおおむね了解していたが、奥羽越列藩同盟の成り立ちについては私の中で靄がかか…

ジャク・リッチーのあの手この手

短編はアイデア勝負である。結末を読者に先読みされるようでは素晴らしい短編とはいえない。まして“「このミステリーがすごい!」第一位作家”という帯でハードルを上げきってしまってしまっては、読者に期待するなという方が無理な注文である。 しかもこの短…

偉大なる夢

江戸川乱歩の短編集。収録作品は『偉大なる夢』『断崖』『凶器』の3篇。 『偉大なる夢』は戦争中に博士が断崖的発想により発明した新動力を巡る日本とアメリカのスパイ合戦。ところで私は乱歩作品の登場人物による丁寧かつ饒舌な自己陶酔的独白が好き。 『断…

無明の蝶

出久根達郎の短編集。 出久根さんの短編小説は古本屋さんの経験を基にしたゾクリとする話が多い。経験に筋金が入っているのでどこからがフィクションなのかが非常にわかりづらいのでゾクリとさせられる。この短編集に収録されている話もどれもゾクリとさせて…