2018-01-01から1年間の記事一覧

古城秘話

城の歴史は凄絶な人間絵巻である。――北は松前城から南は鹿児島城まで全国三十の古城にまつわる伝説を鮮やかな語りでよみがえらせる。(amazonより) 南條範夫の城にまつわる短編集。著者特有の情念に満ちた語り口の伝承、伝説は雰囲気があって素敵。 古城秘…

メルヘンの深層

シンデレラや赤ずきんちゃんの物語から魔女裁判、人間狼、子捨てなど、ヨーロッパ社会の忘れられた実像が見えてくる。(amazonより) メルヘンな童話を様々な視点から見直す。 メルヘンの深層―歴史が解く童話の謎 (講談社現代新書) 作者: 森義信 出版社/メー…

日本の古代道路を探す―律令国家のアウトバーン

日本の古代道路について、どのように計画され機能していたか、またどうやって探すかまで丁寧に書かれている。フィールドワークの方法まで書かれている本は初めて読んだ。タイトルに偽りなし。面白かったのは上総/下総の国名の逆転について。というのは、国の…

決定版 邪馬台国の全解決

中国史書特有の記述法を元に資料を解読し、邪馬台国の場所を解く本。邪馬台国への距離という軍事機密ともいえる情報を正直に書くわけがないとか、当時の常識を踏まえて納得のいく箇所もあるが、こちらの勉強不足もあって著者の主張がどこまで正しいかを判断…

STAR WARS 99人のストームトルーパー

子供たちに買った絵本。絵本そのものは面白いんだけども和訳が余計な言葉を追加しているのが気になる。うちの娘は英語で読んでいたようなので気にならなかったらしいけど。 STAR WARS 99人のストームトルーパー 作者: グレッグ・ストーンズ,渡部岳大(Well Pl…

映画の間取り

映画の間取りを収録した本。アプリ発らしい。 いまいち面白くなかったのは意外性の無さと収録件数の少なさ、というより収録作品の半分くらいしか見てないからかもしれない。あ、「間取り」という言葉に勝手に「(家の)間取り」だと思い込んでしまったのも良…

領主館の花嫁たち

1840年、当主の妻を失ったその領主館は、悲しみに沈んでいた。そして、愛らしい双子の姉妹の家庭教師として館を訪れたテティもまた、癒しがたい傷を負う身であった。屈託なく懐いてくる、瓜二つの双子の姉妹に、徐々に生きる希望を取り戻していくテティ。だ…

シャルビューク夫人の肖像

「姿を見ずに、肖像画を描いてほしい」肖像画家のピアンボに突然声をかけてきたのは、両目が白濁した盲目の男。シャルビューク夫人の使いと称し、法外な報酬を口にして肖像画の製作を依頼してきた。屏風の向こうで夫人が語る、過去の話とその声だけで姿を推…

儚い羊たちの祝宴

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語…

まるで天使のような

山中で交通手段を無くした青年クインは、“塔”と呼ばれる新興宗教の施設に助けを求めた。そこで彼は一人の修道女に頼まれ、オゴーマンという人物を捜すことになる。だが彼は五年前、謎の死を遂げていた。平凡で善良な男に何が起きたのか。なぜ外界と隔絶した…

神様の裏の顔

神様のような清廉な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみで包まれ、誰もが涙した――と思いきや、年齢も職業も多様な参列者たちが彼を思い返すうち、とんでもない犯罪者であった疑惑が持ち上がり……。(amazonより) 藤崎翔のミステリ。ただのどんでん返…

かがみの孤城

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。す…

2018年のまとめ

今年は11月から畳みかけるように忙しかったので、いつにも増して年を越すという実感がない年となりました。それでも少しずつ本を読んではいるので、感想を書かなければいけないものがたまっていくばかりでしたが、例によってタイトルとあらすじと一言感想だ…

コリーニ事件

2001年5月、ベルリン。67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。被害者は大金持ちの実業家で、新米弁護士のライネンは気軽に国選弁護人を買ってでてしまう。だが、コリーニはどうしても殺害動機を話そうとしない。さらにライネンは被害者が少年時…

倭の五王

5世紀頃の中国の登場する倭国の五人の王、讃、珍、済、興、武について、それぞれの時代のアジアの状況や歴史書を細かく見直しつつ、日本の元となったであろう勢力について、考察を重ねている。誰がどれに比定されるのかというのがもっとも興味のあるところだ…

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン(2007 米) 出演:ダニエル・デイ・ルイス他 石油ブームに沸く20世紀初頭のカリフォルニア。鉱山労働者のプレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス)は、石油が沸く源泉があるという情報を耳にする。息子(ディロ…

日本発掘! ここまでわかった日本の歴史

2015年迄の日本考古学界の現状というか進捗状況を、旧石器時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代、古代、中世それぞれの専門家が述べた講演の書籍化。 本書では縄文時代の章(小林達雄)が飛びぬけて面白かった。このくらい熱がないと他人の興味を引けない。日…

儲ける仕組みをつくるフレームワークの教科書

優れた経営者の思考パターンを落し込んだ9つの質問について解説したビジネス書。横軸にwho/what/how、縦軸に顧客価値/利益/プロセスという3x3の表を作ると、下記の9つの質問ができる。 どんな用事を抱えた人をお客様にするのか 解決策として何を提示できるの…

風土記からみる日本列島の古代史

「風土記の世界」より、もう少し内容について詳しい本。そこに描かれる神々の姿や人々の生活について詳しい。 何かの本で卑弥呼の正体とされていたミカヨリヒメがちょっとだけ出ていた。 新書883風土記から見る日本列島の古代史 (平凡社新書) 作者: 瀧音能之…

風土記の世界

日本で最も古い書物と言えば「古事記」「日本書紀」が挙がるが、「風土記」もまた713年に発せられた命令への地方からの回答(解)なので、回答時期によっては「日本書紀」よりも古いものもあったかもしれない。かもしれないというのは「風土記」のほとんどは…

ウォッジェ環礁に行ってきました。

今回仕事でウォッジェ環礁へ行ってきました。7年くらい前にも行ったことはあるのですが、前回は数時間、今回は1週間の滞在。写真を撮ってきましたので紹介します。

虫られっ話

手塚治虫の対談集。相手は筒井康隆、北杜夫、田河水泡、横尾忠則、ジュディ・オング、尾崎秀樹、磯村尚徳、石ノ森章太郎、松本零士。 北杜夫との対談と、手塚治虫の奥さんによるあとがきが面白かった。 手塚治虫くらいの大家ともなると、自叙伝のような漫画…

白ゆき姫殺人事件

化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人人への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌…

忘れられた日本人

宮本常一のエッセイというか、調べたこと。 歴史の表に現れることのない農村の人々からの聞き取りを丹念に記録することで、点に過ぎない一人一人の話が積もり積もって線となり面となり、徳川の時代から明治新政府へと移り変わる頃の日本の民俗の姿が浮かび上…

告白

巷で噂の湊かなえ作品を読んでみた。読んだ3作品の中では「告白」が話としては一番救いがないけども一番面白かった。と書くと私が人でなしのようだけども実際に面白かったので仕方がない。 「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒…

少女

親友の自殺を目撃したことがあるという転校生の告白を、ある種の自慢のように感じた由紀は、自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら、死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考…

ロック・クラッシャーを求めて

仕事でロッククラッシャーの価格を知る必要があったので調べてみた。ロック、クラッシャー、いずれもアウトローな響きのする言葉ではあるが日本語で言うと破砕機とか粉砕機のことである。 これが種類が多すぎてなかなか自分の思い描くものに辿りつけない。一…

夜愁

サラ・ウォーターズの長編小説。 1947年、ロンドン。第二次世界大戦の爪痕が残る街で生きるケイ、ジュリアとその同居人のヘレン、ヴィヴとダンカンの姉弟たち。戦争を通じて巡り合った人々は、毎日をしぶとく生きていた。そんな彼女たちが積み重ねてきた歳月…

親密すぎるうちあけ話

監督:パトリス・ルコント(2004 仏) 出演:サンドリーヌ・ボネール、ファブリス・ルキーニ他 妻と別れて孤独な日々を送る会計士のウィリアム(ファブリス・ルキーニ)の事務所に、ある日、アンヌ(サンドリーヌ・ボネール)という名の美しい女性が訪ねてく…

楢山節考

深沢七郎の短編集。表題作『楢山節考』は民間伝承の姥捨て山をテーマとしており、映画化などで有名。 捨てられるのを楽しみとする母、いやいやながら捨てる息子、この二人の気持ちが生生しい。特に楢山参りの日を早めるために自らの歯を石で砕く母おりんの姿…