『偽書「東日流外三郡誌」事件』斉藤光政

 先日取材で南の島にいらした記者の方にいただいた本。
 農家の天井裏から“発見”された、正史にない古文書「東日流外三郡誌」が世に出てから騒動が終息するまでを追ったノンフィクション。長期間にわたった騒動をまとめているので登場人物が多いが、その割にはわかりやすくまとまっていると思う。読んだ限りでは「東日流外三郡誌」は偽書であるとする「偽書派」の方が理路整然としているように見えるが片方の意見だけで判断するのは難しい。ただ本物であると主張する「真書派」の主張を改めて調べる気にはなれないし、のんびりした田舎の人たちを騙そうとしたことは明らかなので情状酌量の余地はないかな。現代ではありえない事件だが、今なら逆にフィクションとして発表すればそこそこ人気が出たりしたかもしれない。