『米軍が恐れた「卑怯な日本軍」帝国陸軍戦法マニュアルのすべて』

 太平洋戦争(大東亜戦争)末期の1945年8月に、新兵向けに配布された米陸軍の対日戦用マニュアル書「卑怯な日本軍」を題材に、第一章で「卑怯な日本軍」を解説、第二章以降では日本軍のマニュアルを見ながら日本軍の戦法を解説している。米軍のマニュアルは誰が読んでも分かりやすいイラスト付きで、こんなところにも本質を理解している米軍の有能さ、恐ろしさを垣間見ることができる。
 日本軍の戦線は大きく分けて二つ、中国戦線と南方戦線で、この二つの大きな違いは日本軍が望んで開いた戦線かどうかにある。もちろん盧溝橋事件から仕掛けていった中国戦線が想定内の戦線で、アメリカから反撃を喰らった南方戦線が望んでいなかった方である。そもそも対中国さらにはその後に控えている対ソ連は考えていたけども、暑くてじめじめした南方戦線は日本軍にとって不測の事態であるわけで、その辺の対策に不備があったことはやむを得ない面もある。ただどちらも末期には負け戦が続き物資が欠乏し、精神力で乗り越えようとする悪い方向へ向かってしまうのは日本軍の、引いては日本人の悪癖である。後戻りできない、今更遅い、という状況は現在でもよく耳にするが、そうならないようにする努力は怠ってはいけない。