カトリック系の夫と結婚したブライトン在住著者の息子の話。息子は高校から公立校に進んだことで環境がハードになり、様々な問題に巻き込まれつつも、少年なりにしっかりと考えて乗り越えていく姿を著者が見守る。
日本人は日本人がどう見られているかをすごく気にする性質がある。なにかと「海外では~」と言い出して比較したがる人(~デハ、~デハとばかり言うので出羽守と呼ぶらしい。うまいことをいうものである。)がいたり、それを叩いたりする人がいるようだが、どちらも元をたどれば同じところから出てくるものである。そんなに他人の目は気にしなくても良いと個人的には思うのだが、一通りのことをちゃんとしているからよそのことが気になるのであって、言ってみれば自負心の裏返しのようなところがある。そうでなければよそのことは気にならない。
裏返るほど自負心が余っている国民性からすると、ミックスの少年が他国でどのような目にあっているか、少年自身は自分の境遇をどう思っているか、というのはなかなか気になるところである。また話題は自然と人種差別や貧困などのちょっと意識高そうな社会問題、そして舞台は日本人が好きな英国であり、さらに大変読みやすいのでベストセラーも納得。
例えば少年は混血児がハーフと呼ばれたり最近ではダブルと呼ばれるのを知って、自分は半分でも2倍でもない1人のミックスだよね?と答えている。著者の息子はそれこそ人種差別にあうようなハードな経験をしてもしっかりと自分で考えて答えを導き出しているのも良い。もっともハードな経験の半分くらいは親である著者の判断で避けられそうな気がしないでもないので、その点は主義思想に酔っていそうな感じがするので少しだけ引っかかる。