出久根達郎

風がページをめくると

出久根達郎のエッセイ。風がページをめくると (ちくま文庫)作者: 出久根達郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/03メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (3件) を見る

無明の蝶

出久根達郎の短編集。 出久根さんの短編小説は古本屋さんの経験を基にしたゾクリとする話が多い。経験に筋金が入っているのでどこからがフィクションなのかが非常にわかりづらいのでゾクリとさせられる。この短編集に収録されている話もどれもゾクリとさせて…

七つの顔の漱石

夏目漱石と言えば千円札である。押しも押されぬ明治の文豪である。ここまで理解している人は多くいるけども、ではなぜえらいのか説明できる人となると少なくなる。私は現代日本語の基礎を作ったからと理解している。中学高校で古文を学んで「これが日本語か…

猫の似づら絵師

出久根達郎の長編?時代小説。貸し本屋に勤めていた二人がクビになり、貧乏長屋に移り住み、それぞれ貧乏神売り、猫の似づら絵師という商売を始めて巻き込まれる珍騒動の数々。 タイトルの「似づら絵師」をはじめとして、この本には実に珍妙な商売が多く登場…

乙女シジミの味

出久根達郎のエッセイ。 新聞に連載したエッセイ129篇!割と最近のエッセイなので話題にも聞いたような話があるのはいいが、新聞連載であるせいか、短い。もう少し長いのが読みたい。ビッキ亡き後にキキという新しい犬を飼っていることが判明した。出久根中…

倫敦赤毛布見物(ロンドンパンパン)

出久根達郎の随筆。 漱石が滞在したロンドンの、漱石が通ったと思われる古本屋を筆者が訪ねる話のほか、いつもの随筆。 漱石がロンドンに滞在した時期の話は自転車日記かなにかで読んだ気がするがあまりはっきりとは覚えていない。下宿のおばさんの話ばかり…

御書物同心日記「虫姫」

出久根達郎の連作小説の続編と続々編。主人公は徳川将軍家の蔵書、紅葉山文庫につとめる御書物同心。非番の日は古本屋を冷やかし、と書物に関係のあることなら何にでも興味を持つ主人公が書物にまつわる不思議な話に巻き込まれていく。続編、続々編が出てい…

続・御書物同心日記

犬と歩けば

出久根達郎のエッセイ。 橋本夢道、夏目漱石の書簡についてなど、いろいろと著者の好きなものの話が多いが、今回はやはり著者の飼い犬であった「犬大将」ビッキの話が印象深い。泣ける。犬と歩けば作者: 出久根達郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2001/03メ…

えじゃないか

出久根達郎の歴史長編。 幕末の坂本竜馬・中岡慎太郎暗殺事件の犯人を菊屋の太吉がええじゃないか騒動にまぎれて追う話。 菊屋の峰吉がモデルになってるんだろうけども、どうにもまとまりがない。それもそのはずで本来大吉の道中は江戸まで続く予定だったら…

御書物同心日記

出久根達郎の長編時代小説というか連作。 本の知識では誰にもひけをとらない丈太郎は、天下の稀本珍本が集められた将軍家の御文庫に勤める新米同心。個性豊かな先輩同心がそろう御文庫に、同じく新米同心として角一郎がやって来たときから、奇妙な事件が相次…

あったとさ

出久根達郎の短編集。 今回は単行本で読んだのだが、前に読んだことがある気がする。文庫本で読んだのかもしれない。 著者の現代小説は当然ながら古本屋が垣間見た、普通の人ではあまり関わらない世界の話か、ありえなくはない程度に現実的な、ぞっとさせら…

日本人の美風

出久根達郎の新書。日本人らしい種種の心配りをまとめた一冊。浜口梧陵、中谷宇吉郎、二宮尊徳、野口英世のパトロンたち、樋口一葉、一高校長たち、皇后美智子さま、の7つのエピソードを紹介している。 中でも二宮尊徳の話で、殿様からの荒廃した所領の立て…

司馬遼太郎の流儀-その人と文学

司馬遼太郎についての講演?をまとめたもの。話者は脚本家として関わった小山内美江子、誰だか知らない鶴見俊輔、古本屋さん出久根達郎、元編集者半藤一利。それぞれいろんな視点から語っており楽しい。司馬作品をもう一度読みたくなる。司馬作品を一つでも…

お楽しみ

出久根達郎の短編小説。 ベッド周りの本をかたづけたら出てきた。短編だからいつでも読めるとなんとなく後回しにしていると、なんとなく埋もれていって読んだかどうかも思い出せなくなるもので、これも読んだつもりだが読んでいなかった。正確には最初の二つ…

漱石先生とスポーツ

出久根達郎の、スポーツに関する本にまつわるエッセイ。 明治の文豪、夏目漱石とスポーツは一見つながりがなさそうだが、ベースボールを野球と翻訳したのが正岡子規であり、それだけ野球の虜となり、日本に広まる基礎を築いたのが若き日の子規の隣にいたのが…

二十歳のあとさき

出久根達郎の自伝小説。3の2。これでようやく3冊全部読めた。 主な内容は中学を出て古書店に勤めるようになった著者が、他の店の同じような立場の書店員と始めた勉強会の顛末で、特別に甘い話は無いのだが、なんとなく甘酸っぱい気持ちにさせてくれる。 とか…

本の気つけ薬

出久根達郎のエッセイ。 古本屋さんの話がたくさんでうれしい。古本屋さんは意外とインターネットにも通じており、全古書連が「日本の古本屋」というウェブサイトを比較的早くから立ち上げているという。このサイトは古本の価格コムのようなもので、古書価を…

たとえばの楽しみ

出久根達郎のエッセイ。 印象に残ったのは宮沢賢治についての話。 宮沢賢治は『国訳妙法蓮華経』を一千部出版してほしい、と遺言し、最後のページに以下の賢治の言葉が印刷された。 合掌 私の全生涯の仕事は此経をあなたの御手許に届けそして其中にある仏意…

古本、貸本、気になる本

古本・貸本・気になる本作者: 出久根達郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2004/08/11メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (9件) を見る出久根達郎のエッセイと書評。 この人のエッセイを何冊も、そして何度も読んでしまうのにはおそら…

朝茶と一冊

朝茶と一冊 (文春文庫)作者: 出久根達郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2000/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る

昔の部屋

出久根達郎の短編小説集。 著者の短編小説はきれいでやさしい日本語で安心して読めるのだがたまに、いきなりゾクっとさせられることがあるので気が抜けない。ネットで検索してもなかなか目次が見つからないのではっきりしないけれども、確か表題作がそういう…

逢わばや見ばや

出久根達郎の自伝小説。 完結編を既に読んでしまったのだが特別違和感はない。著者は集団就職で東京に出てきて古本屋の丁稚になり、世間に揉まれながら成長していく姿がほほえましいのは私が他の著作を多く読んでいるからというだけではないだろう。 読み終…

紙の爆弾

出久根達郎の長編小説。 戦時中製作されていた伝単と呼ばれる、宣伝ビラにまつわる話だが、古本屋たちの冒険活劇、というか結末に向かうに従ってかなりはっちゃけている。紙の爆弾作者: 出久根達郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2000/01メディア: 単行本…

かわうその祭り

出久根達郎の長編小説。 あるコレクターから手に入れた幻の映画フィルムの謎は満洲に遡り、果ては大津事件にまで及ぶ、“紙くず”に魅入られた人間たちの冒険劇。すこし群像劇風でまとまりに欠ける。かわうその祭り作者: 出久根達郎出版社/メーカー: 朝日新聞…

笑い絵

出久根達郎の長編小説。 紙芝居屋が春本作りに関わり、XXな話に巻き込まれていく。庶民が時代に巻き込まれながらも精一杯生きていく感じが良かったのと二笑亭(物語の中では「可笑亭」)が出てきたのが嬉しい。 二笑亭というのは昭和初期の東京に出現した、…

むほん物語

出久根達郎の長編小説。 古本協会史の編纂にあたり、方々より送られてきた関係書籍の中から見つかった「笈の角文」なる書物の由来を辿る話。過去と現在、虚構と真実が交錯しつつ、交錯する度に前の話がひっくり返るので読むうちに何がなにやらわからなくなっ…

いつのまにやら本の虫

出久根達郎のエッセイ。 古本屋を生業とする著者のエッセイには当然たくさんの蔵書を抱える人たちが出てくるのだが、もっともたくさんの蔵書を抱えているのは古本屋自身である。という話はどこかで読んだような気もするが、確かにそう思えるほどに著者の本、…

踊るひと

出久根達郎の短編集。 最近は字を書く機会が減ってきたので、たまに自分が書いた字を見るとその汚さにぞっとする。文字を書くかわりにパソコンで入力した書類やメールを使うようになったが、汚い字にかわって誤字脱字が増えた。きれいな文章を書くには読み返…

漱石先生の手紙

出久根達郎による夏目漱石の書簡紹介。一部をシロアリに齧られてしまったうちの一冊。 今に残る漱石の書簡は著者の「人生の教師」であるという。『私の個人主義』で読むことの出来る講演もそうだが確かに漱石の言葉はくだけていてユーモアに富んでおり読んで…