漱石先生の手紙

出久根達郎による夏目漱石の書簡紹介。一部をシロアリに齧られてしまったうちの一冊。
今に残る漱石の書簡は著者の「人生の教師」であるという。『私の個人主義』で読むことの出来る講演もそうだが確かに漱石の言葉はくだけていてユーモアに富んでおり読んでいて飽きることがない。明治の文章を現代に読んでも面白いというのはすごいことなんではないかな。書簡を通して浮き彫りとなる漱石の人となりも興味深い。
本文は「正岡子規への手紙」「旧友への手紙」「夫人への手紙」「寺田寅彦への手紙」「門下生への手紙」「鷗外への手紙」「女性への手紙」「若い人への手紙」「愛児への手紙」「読者への手紙」「慶弔見舞いその他の手紙」と相手によって分けられており、読者からいきなり会ってくださいと言われて断る手紙、内田百輭の借金を引き受ける手紙、奥さんの髪を心配する手紙など、それぞれ特色があって面白い。オススメ。

漱石先生の手紙 (講談社文庫)

漱石先生の手紙 (講談社文庫)