むほん物語

出久根達郎の長編小説。
古本協会史の編纂にあたり、方々より送られてきた関係書籍の中から見つかった「笈の角文」なる書物の由来を辿る話。過去と現在、虚構と真実が交錯しつつ、交錯する度に前の話がひっくり返るので読むうちに何がなにやらわからなくなった。話が話であるだけに緊張感はさほどでもないのだが、たまにドキリとさせられるものもあってミステリとしても秀逸。