『日本は誰と戦ったのか - コミンテルンの秘密工作を追及するアメリカ』江崎道朗

 『スターリンの秘密工作員』という本を紹介した本。太平洋戦争は日本の侵略戦争だったのか。機密文書などが公開されるにつれて太平洋戦争におけるアメリカの判断は正しかったのかを検証する動きがあり、実はソ連の工作によるところが大きかったようだ、という内容。以下はソ連コミンテルン)によって行われたと思われる工作の一部。

  • ソ連を脅威とする北進論から南進論へと日本の鉾先を変えさせた
  • ルーズベルトに提出されていた日米講和につながる情報をつぶした⇒ソ連の対日参戦まで降伏させなかった
  • ソ連のスパイによって仕切られたヤルタ会談において、戦後の共産圏確立の密約

 どこまで本当かというのは例によって不明だが、日露戦争の反動からソ連が日本を脅威と見ていたこと、戦後アメリカが執拗に赤狩りを続けていたことなど、事実と符合する点も多い。しかしすべて本当だとしたら日本もアメリカもソ連に相当うまくやられたことになる。ずるい汚い北方領土を返せといまさら言ってもあとの祭り。せめて現在の日本政府は過去に反省してしかるべき手を打ってあると思いたい。

 しかしこういう本の著者はどうして帯に顔を出したがるのだろう。胡散臭さがアップするだけだというのに。