明治の人間の新しい世に対する気概が感じられる『学問のすすめ』福沢諭吉

 「天は人の上に人を作らず~」で有名な福沢諭吉の本。読み終わってから出版社が幸福の科学であると気づいた。それでも内容は普通のと変わらないでしょうたぶん。

 ちなみに先述の言葉は有名であるが、平等主義の言葉ではなく、人は生まれてきたときは平等だけど、学問をするかしないかで差がつくから学問しようぜ~と続く、つかみの一文である。

 ビジネス本の原点と言われるだけあって、おっしゃることはもっともですが実際にはなかなかできない!ということがたくさん書いてある。ただ現代のビジネス本と異なるのは書いていることを(おそらく)本気で信じ、本気でこの国をよくしようと思っている点で、明治の人間の新しい世に対する気概が感じられる。そもそも福沢先生が学問をすすめる理由は、学問をすることで一個人として独立し、日本という国の旧弊を改め独立を維持することにあるのである。

 あと内容とはあまり関係ないが『百姓も人であり、禁裏様も人である』と、天皇を「人」としているのも興味深い。現人神という考え方は少なくとも江戸末期~明治初期にかけては一般的ではなかったらしい。