新書

理性の限界

人間の頭で考えるられることの限界について、例題を元に説明し、様々な考え方を代表する登場人物に対話させているので読みやすい。何一つ頭には残らなかったが、思考実験とか哲学に興味が湧く。理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)作…

生物と無生物の間

貝と石を見て、前者が生物で後者が無生物とわかるのはなぜか、という話。 DNAのらせんが云々という話だが、正直あまり覚えていない。研究者の逸話の方が記憶に残っているのは他人の功績を盗んだ疑惑のある研究者とか、破天荒な研究者とか、人間臭い話が多か…

日本書紀の謎を解く―述作者は誰か

本書は日本書紀の研究の歴史に始まり、音韻、文章、編集方法などから日本書紀にまつわる謎を解いていく。 各章の始まりに挿入されるメルヘンな文章は気持ち悪いが、発音の分布、文章の書き方のクセ、編集のクセなどから分析し、書記を著した人が複数いるとい…

中世日本の予言書―“未来記”を読む

予言書というと私たちの世代には何と言ってもノストラダムスの創世記である。1999年もとうの昔に過ぎ、アンゴルモアの大王は空から降ってこなかったわけだが、その昔、「ノストラダムスの大予言」の本を読んでいて怖くなった兄がベランダから本を投げ捨てた…

屋根の日本史

竪穴式住居から城郭まで、屋根職人が語る文字通り日本の屋根の歴史。当たり前だが屋根の見方が違う。 例をいくつか挙げると、例えば、瓦屋根は仏教伝来と共にやってきた当時の最新技術であった。にもかかわらず一般に普及しなかったのは、堅固な瓦は同時に防…

走らんかい!

1065盗塁の福本豊の著書。 最近はベースボール新書なんてのがあるんですね。一流と呼ばれる人はさすがに重みがあるというか、まあ受け取る側の問題かもしれないが、説得力がある。 ふくもっさんが繰り返すのは努力することの大切さで、特別な才能よりも積み…

なぜ八幡神社が日本で一番多いのか

島田裕巳の新書。 通っていた小学校の裏の方に八幡神社があったので、自分にとっては八幡神社、もしくは沼袋や高円寺にあったので氷川神社あたりが身近だが、世の中にはいろんな神社があるんですね。 副題の「最強11神社」というのはバカっぽいので外した方…

新・戦争論

池上彰と佐藤優の対談。 世界の紛争中の国と地域について一つ一つの状況と今後の日本の展望を語る。尖閣諸島からイスラム国まで、仕事とはいえいろんなことをよく知ってるものである。 どこについての話でもよく出てくるのはイスラム教勢力。日本では比較的…

日本人と日本文化

司馬遼太郎とドナルド・キーンの対談。両者の初対談。内容は濃いが読みやすい。司馬遼太郎が披露する歴史のエピソードを訂正できる外国人なんて、ドナルド・キーンぐらいのものではなかろうか(適当)。当人同士は初めてにもかかわらず古い知己と語りあって…

歴史とは何か

E・H・カーの新書。E・H・カーが1961年にケンブリッジ大学にて行った講演を文章化したもの。 カー曰く、 歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話である 基本的にこの言葉を本一冊にわたり長長と…

ああ、監督

野村克也の新書 野球監督として必要なこと。自身の経験を交えて。先日引退した宮本は監督路線らしい。確かにNHKの解説やってたし。あぁ、監督 ――名将、奇将、珍将 (角川oneテーマ21)作者: 野村克也出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2009/…

日本の神話・伝説を読む―声から文字へ

佐佐木隆の新書。 「古事記」や「日本書紀」を読むとまず気づくのは神様の名前の長さである。アメノニギシクニニギシアマツヒコヒコホノニニギとか。ちなみにアメノニギシ・クニニギシ・アマツヒコ・ヒコ・ホノニニギと読むと読みやすくなるが、それでも日本…

人に強くなる極意

佐藤優の新書。 著者は外務省に勤め、ロシア関係を主に担当していたが鈴木宗男失脚に巻き込まれて512日間勾留の後、釈放されて文筆家に転進した人。最近父がこの人の本をやたらと勧めてくるので、それらの中からしゃっちょこばらないですみそうなタイトルの…

日本人の美風

出久根達郎の新書。日本人らしい種種の心配りをまとめた一冊。浜口梧陵、中谷宇吉郎、二宮尊徳、野口英世のパトロンたち、樋口一葉、一高校長たち、皇后美智子さま、の7つのエピソードを紹介している。 中でも二宮尊徳の話で、殿様からの荒廃した所領の立て…

石田三成

小和田哲男の新書。 石田三成については秀吉のブレーンというか実務係?で太閤検地の際などに活躍、あとは関が原の西軍首謀者くらいにしか知らなかったのだが、それは徳川家による情報操作の疑いが強いのだそうな。確かに島左近と並んで称えられた佐和山の城…

豊臣秀吉

小和田哲男の新書。 ちなみにこの本も1年ぐらい前に買って積読されていた一冊。 信長から政権を受け継いだ豊臣秀吉の時代というのは、なんというか後の江戸時代と比べてすごく華やかであった。考えてみれば彼の人生の転機も最大のピンチは本能寺の変かと思…

戦国武将

小和田哲男の新書。 「似たような本ばかり読んでるけど、いまさら戦国武将の何を知りたくて読んでるの?」という妻の質問に返答できず。本によっては新しい説があったりするのだが小和田哲夫の本はもう何冊も読んでるので、確かにいまさらという感じはする。…

歴史とはなにか

岡田英弘の新書。 「歴史とはなにか」とはずいぶん大きく構えたものだが、この本では本当に「歴史とはなにか」について語っている。 本書ではまず第一部「歴史のある文明、歴史のない文明」でなにが歴史かということについて「なにを歴史として認識するか」…

戦国大名

小和田哲男の新書。 最近の流行に乗った本よりも小難しい感じはあるが、戦国大名はどこから発生したか、その発生と分類について詳しい。戦国大名 (歴史新書―日本史)作者: 小和田哲男出版社/メーカー: ニュートンプレス発売日: 1985/10メディア: 新書この商品…

戦国 三好一族―天下に号令した戦国大名

戦国時代近畿地方に覇を唱えた三好一族について。 その頂点である三好長慶は、室町幕府の陪臣としてデビューしてのし上がってきたわりに、その機会を得ながらも天下を簒奪するまでにいかない、いまいち思い切りの悪い、流されやすいトップというイメージがあ…

江戸っ子はなぜ宵越しの銭を持たないのか?

落語を通じてのぞいた江戸時代を紹介。落語を知らなくても面白いが、知ってる方が良いかもしれない。落語の取っ掛かりにも良いかも。江戸っ子はなぜ宵越しの銭を持たないのか? 落語でひもとくニッポンのしきたり (小学館101新書)作者: 田中優子出版社/メーカ…

伝える力

池上彰の新書。買った覚えはない。 わかりやすい解説で引っ張りだこの著者による伝え方教室。私がよく使う、文章を書く際の順接の「〜が」も注意事項に入っていた。 ちなみに池上彰を「NHKこどもニュース」で見たとき、シャーロック・ホームズの英会話のおっ…

知の編集術

編集術をまとめた新書。 面白かったのは、全て同じプロットで作品を作るというジョージ・ルーカスの話。もっともかれが監督した作品なんてスター・ウォーズ以外ではアメリカン・グラフィティくらいしか知らないので全て、というのは嘘ではないにしても誇張で…

日本国宝物語―歴史に秘められた謎を訪ねて

日本の国宝にまつわる話をまとめた本。なぜかミスター戦国時代、小和田哲男の著作。歴史的事件にまつわる国宝、歴史に残る人物にまつわる国宝、海外との結びつきを示す国宝、宗教関係の国宝、伝承にまつわる国宝で章分けされている。御堂関白記の話が面白か…

日本人の美徳 誇りある日本人になろう

みんな大好き櫻井よし子の新書。現代の日本人への提言。ただ新書にするほどの内容ではなく、内容は多岐に渡りどちらかというとエッセイに近い。肩に力が入りそうな題名だがやさしい文章に肩透かしを喰らう。それでも今の日本人が忘れがちなことをやさしく述…

歴史と出会う

網野義彦が書いた残りを集めたような一冊。あとがきとか対談とか弔辞とか。 自らの教師経験を語るくだりで、教え子たちに呼ばれた同窓会の折にもう一度歴史の授業をしたという話があるのだが、そこで著者は過去に教えた内容が間違っていたことを謝ったという…

坂本龍馬の10人の女と謎の信仰

坂本竜馬を支えた10人の女性についてのそんなに詳しくない話に一章割かれていて、あとはジョン万次郎・河田小龍・千葉一族について。 目の付け所は面白いが勉強不足・文章力不足。最後に対談を載せてページ数を稼いでいるが、脱サラしてペンションをはじめた…

大江戸死体考

上に書いた「大江戸残酷物語」と同じ筆者がさらに「死体」をクローズアップして書いた一冊。試し切りの話や人斬り浅右衛門こと首切り役人山田浅右衛門とその一党について詳しく書いてあったのが良かった。大江戸死体考―人斬り浅右衛門の時代 (平凡社新書 (01…

大江戸残酷物語

転がる死体、公開処刑等等、江戸時代の陰惨な面に魅せられた著者が集めた記録の集大成。 一口に江戸時代といっても人間の営みが260年も続いているのだから事件があって当たり前。しかも「死」ということが現実からかけ離れてしまった現代から見るから陰惨に…

将棋の駒はなぜ40枚か

将棋の成り立ちと歴史。大将棋→中将棋→小将棋(現在の将棋)に至る歴史の他、江戸時代の将棋家、大橋本家と分家、伊藤家についても詳しい。 300年以上前の日記が残っていて今も読めるというのは日本だとそれほどたいしたことではなく感じてしまうけれども、…