「もののけ」と人々の反応の変遷『もののけの日本史』小山聡子

 それぞれの時代の「もののけ」という言葉の使われ方、意味を通して「もののけ」とは何かを探る。
 「もののけ」とは本来「物の気」で、なんだかよくわからんものをまとめてそう呼び、調伏したり供養したりの対象となった。時代が下がるにつれて幽霊・魂魄・ばけもの・妖怪といったようなものへ変遷というかごちゃ混ぜにされた感じ。元がなんだかよくわからんものなので、それで正しいような気もする。「なんだかよくわからんもの」である「もののけ」は、つまりそれぞれの時代の人智の限りを超えたものなので、人智の領域が広がればそれだけ「もののけ」の領域は狭くなる。それで「もののけ」は下火になる。判官贔屓ではないけれども、人には畏れ入る対象がなくなると碌なことをしないので、今後も「もののけひめ」や「妖怪ウォッチ」の系譜が続いていくことを希望。