楢山節考

深沢七郎の短編集。表題作『楢山節考』は民間伝承の姥捨て山をテーマとしており、映画化などで有名。
捨てられるのを楽しみとする母、いやいやながら捨てる息子、この二人の気持ちが生生しい。特に楢山参りの日を早めるために自らの歯を石で砕く母おりんの姿は壮絶。その壮絶さは今読んで気狂いとしか思えない類の壮絶さだが、子のため、しきたりのため、世間のために信じる姿勢は宗教的で、否定できないものがある。
その背景となる姥捨ての景色も、山に転がる白骨遺体と、それをついばむカラスと、楢山参りの日に降ると運が良いという雪と、壮絶な景色が目に浮かぶ。
あとこれは間違ってるかもしれないけども、『楢山節考』は「楢山節という歌について著者が考えてみた」という意味だと思うので、この解釈であっていれば、歌のために作り出されたファンタジーということになって、だとすれば著者の頭の中身が恐ろしい。そういうことはどこを見ても書いてないので違うかもしれないけども。意外と短い。オススメ。

 

楢山節考 (新潮文庫)

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