日本発掘! ここまでわかった日本の歴史

 
2015年迄の日本考古学界の現状というか進捗状況を、旧石器時代縄文時代弥生時代古墳時代、古代、中世それぞれの専門家が述べた講演の書籍化。
本書では縄文時代の章(小林達雄)が飛びぬけて面白かった。このくらい熱がないと他人の興味を引けない。日本考古学会は己の不人気を自覚し、その面白さを世間に伝えることにもっと力を入れるべきなのである。そのためにはわかりやすくなければならないが、学校で誰もが習うにもかかわらず、時代の分け方というものはわかりにくくできている。
江戸時代260年、これはわかりやすい。室町時代240年、これは戦国時代と混ざるけどもまあわかる、鎌倉時代150年、これは最近始まりをどことするかで意見が分かれているようだけども大体わかる、平安時代もなくよウグイス平安京、その前が南都びっくり奈良時代、ここまでは良い。
飛鳥時代wikipediaによれば「飛鳥に宮都が置かれていた崇峻天皇5年(592年)から和銅3年(710年)にかけての118年間」とのことだが、古墳時代と混ざってしまっている。ちなみにその古墳時代は3世紀中頃~7世紀頃、前方後円墳が盛んに作られていた時代とのこと。古墳自体がいつ作られたのかもはっきりしていないので当たり前だが、わかりづらいことこの上ない。
それから弥生時代。これはもう始まりが紀元前4世紀と言われていたのが最近では紀元前10世紀とかいう話もあり、縄文と並列していた時期もあるようで、もういつからいつまでと言えない。そんなだから縄文時代も終わりははっきりせず、始まりに至っては約1万5千年前、さらに旧石器時代は260万年前からというので、もうこれは桁が違う。 言うなればエンジンの区分を教えるのにディーゼルエンジン、キャブレター、DOHC、水平対向、と教えているようなもので、教わる方は大混乱です。
この混乱の元は明らかにその名称というかこれら時代名を並列に挙げていることによるものなので、石器時代、青銅器もしくは鉄器時代(日本は弥生時代に青銅器と鉄器がほぼ同時に使われ始めた)という区分をまず教えてから、青銅器/鉄器時代の内訳として文化や政治体制の違いから区分される弥生時代以降を教えるべきなのである。これで本当にわかりやすくなると思いますよ。
日本発掘!  ここまでわかった日本の歴史 (朝日選書)

日本発掘! ここまでわかった日本の歴史 (朝日選書)