アガサ・クリスティ

春にして君を離れ

アガサ・クリスティの長編ミステリ?優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。が、娘の病気見舞いを終えてバグダッドからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱き…

ABC殺人事件

アルファベット順に起きる殺人事件。久しぶりにヘイスティングスが出ているだけでなく、カットバックというのか話が二つの視点での同時進行だったりして盛り沢山の印象。 ポアロを普通の人に勧めるとよく展開の遅さが気に入らないと言われ、その度に殺人事件…

第三の女

突然の訪問者に「自分は殺人を犯したかもしれない」という謎の独白のみを手がかりにポアロがあったかもしれない事件に挑む。 わかっている事柄が少ないため、事実と事実を結ぶいわゆるミッシングリンクを探すことに本編の多くが割かれているので、もやもやし…

マギンティ夫人は死んだ

死刑判決を受けた容疑者は冤罪であるというスペンス警視の依頼を受けてポアロが真相を究明する。 それぞれの登場人物が曖昧なうちに読み終えてしまったのでいまいち面白くなかった。マギンティ夫人は死んだ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)作者: アガサクリ…

ブラックコーヒー

戯曲用に書かれたポアロ作品を小説化したもの。戯曲という少し違うジャンルに出すのでいかにもな話を用意したのだろうが、典型的過ぎて印象が薄い。ブラック・コーヒー (小説版) (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)作者: アガサ・クリスティ,中村妙子出版社/メ…

アクロイド殺し

ポアロの第2作目。たぶん「オリエンタル急行殺人事件」に匹敵するトリックが使われていることで有名。それがフェアであるかそうでないかは意見が分かれるところだが、個人的には楽しませてくれればなんでもアリだと思う。ヘイスティングスは登場しない。アク…

教会で死んだ男

短編集。同じく短編集である「死人の鏡」に収録されている作品が入っていたのは何故だろう。教会で死んだ男(短編集) (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)作者: アガサ・クリスティー,宇野輝雄出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2003/11/11メディア: 文庫購入: 2…

複数の時計

ポアロ作品を20冊以上読んだがようやく読んでる途中で犯人というかトリックがわかった、という個人的に記念作品。ポアロは後半まで登場しない。途中でクリスティ自身のものと思われる推理作家評があるのが面白い。複数の時計 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫…

象は忘れない

オリヴァ夫人の名付け子の両親は心中を図ったといわれているが、ポアロがその真相解明に乗り出す。 ポアロ最後の事件である「カーテン」の一つ前の作品で、「カーテン」がわりと早い時期に最終作として準備されていたことを考えると実質的な最後のポアロ作品…

鳩の中の猫

某国の革命の余波が有名女子校に殺人事件を引き起こし、ポアロが解明する。簡単にまとめると荒唐無稽にみえる。だからこそ冒頭にわざわざネタばらしとも取れる話を入れたのだろうが、それでも突拍子もない感じは拭えない。ポアロも残り1/3ぐらいまで登場せず…

ヘラクレスの冒険

ポアロのファースト・ネーム「エルキュール(=ヘラクレス)」であることから、ギリシャ神話の英雄になぞらえて引退前に12の偉業を達成しようという短編集。 さすがに長編と比べてしまうとミステリとして読みごたえに欠けるが、サキやダールの短編のようなア…

葬儀を終えて

「ヒッコリーロードの殺人」の前にこれを読んでいたのを忘れていた。どちらも登場人物が多くて把握しきる前に事件が解決されてしまったので印象が似ているのかもしれない。最近ヘイスティングスが出てこなくてちょっとさびしい。もっと出てると思ったんだが…

ヒッコリーロードの殺人

学生寮で殺人事件。場所が場所だけに最初から最後まで騒騒しいイメージ。もう中〜後期の作品だと思うが初期よりも被害者が殺害される前後の状況に重点が置かれるようになったように思う。感情移入しやすい分悲劇的になったというか。どちらかというと喜劇的…

満潮に乗って

金持ちの再婚相手の遺産をもらった若い娘と、その遺産をアテにしていたにもかかわらずもらい損ねた遺族。しかし亡くなったはずの前夫が実は生きているかもしれない、ということで話が進む。真相に近付くヒントは与えられているものの、ミスリードというか焦…

愛国殺人

マザーグースの調べに乗せて殺人事件がおこる(ちなみに原題はマザーグースの詩の一部)のだが、いまいちマザーグースの必然性がわからない。欧米諸国ではしっくりくるとしたら全く残念な話だが、解説によるとアメリカでも邦題の「愛国殺人」を採用したとい…

白昼の悪魔

避暑地で白昼堂堂起こった殺人事件。短編集に似たような話があった気がする。解説にも書いてあったが冒頭の状況説明が説明だけで終っていなかったりして、地味ながら面白い。白昼の悪魔 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)作者: アガサクリスティー,Agatha Chr…

五匹の子豚

16年前の殺人事件で実刑を受けた女の娘が母の冤罪を信じてポアロに真相発見を依頼。灰色の脳細胞の活躍に頼るポアロならではといえる。犯人が誰だか早くも忘れてしまったが、なかなか面白かった。「三幕の殺人」のメアリー・リットン・ゴアがちょろっと出て…

杉の棺

物語がしっかりとしていたせいか大変面白く読めた。その物語に目がいってしまうが故に出来事を一面的にしか見れないようにさせるのはポアロ(クリスティ)作品の特長といってよいように思うが、この作品はそれが顕著。結末はそれほど意外ではない。杉の柩 (…

ポアロのクリスマス

クリスマスに一族が集まったお屋敷で殺人事件。ポアロは例によって関係者の性格をもとに捜査を進めていく。もっと面白い作品だと関係者の伏線がうまく絡まっているのだが、今回は伏線がそれぞれ単発でいまいち。 余談だが一つのパターンとして、関係者が別の…

死との約束

エルサレムとかそのあたりを旅行中のグループで殺人事件。 最近では犯人を予想して最後のどんでん返しの一つ手前ぐらいまでは当たるようになった。つまり作者の思うツボに見事にはまっているらしい。もっとも提供された証拠だけで事件の真相にたどりつけるよ…

ひらいたトランプ

容疑者は全員過去に殺人を犯しているが、それはそれとして今回の犯人は誰?というちょっと珍しい事件。事件当時行われていたブリッジの得点表を元にポアロが犯人を見つけ出す。 ここで行われているブリッジはセブンブリッジではなくてコントラクトブリッジと…

メソポタミヤの殺人

中東の遺跡調査団で殺人。どうでもいいが中東をアジアの一部と捉えるのには違和感があるが、ヨーロッパの人はそう思うらしい。メソポタミヤの殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,石田善彦出版社/メーカー: 早川…

雲をつかむ死

飛行機の中で殺人。いわゆる+1の結末。クリスティの作品は無駄に文学的な表現が少ないので読みやすいということにいまさらながら気がついた。雲をつかむ死 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)作者: アガサ・クリスティー,加島祥造出版社/メーカー: 早川書房発…

三幕の殺人

珍しくポアロが脇役の話。もちろん最終的には主役に返り咲くのだが、そのせいかいつもより話が進むのがたどたどしいように感じた。あまりよい出来ではないように思う。三幕の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)作者: アガサクリスティー,Agatha Christie,…

エッジウェア卿の死

ポアロの時代は第一次世界大戦が終ったあたり、人によってはパクス・ブリタニカを偲んだりするけれども実は大戦に挟まれた平和な時代。人々はしっかりと階級分けされ、上流階級に生まれれば額に汗して働く必要はなく、遺産の利子で食べていけるという世界。…

ポアロ登場

ポアロ短編集。ポアロが自信過剰になったときに言ってくれという「チョコレートの箱」の元ネタなどを収録。ポアロ登場 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)作者: アガサ・クリスティー,真崎義博出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2004/07/15メディア: 文庫 クリ…

ビッグ4

ポアロが世界を牛耳ろうとする謎の組織ビッグ4と対決。前に読んだはずが内容をよく覚えていなかったが、最後の方までいくと思い出した。推理小説というよりスパイ小説のような感じで、解説によるとクリスティ初期の試行錯誤していた頃の作品らしい。というこ…

ナイルに死す

ポアロ、エジプトへ行くの巻。すぐ前に「三つの棺」を読んだせいかひどく読みやすかった。ついでにクリスティ作品の登場人物は他と比べて背景がしっかりしているせいか魅力的に見えることに気がついた。ヘイスティングスがその象徴。まあこれは長く続くシリ…

邪悪の家

名探偵エルキュール・ポアロがわりと犯人に裏をかかれる作品。怪しい屋敷、怪しい友人、怪しい隣人に怪しい伏線と、素敵な舞台装置がそろっており、全体に無駄がない感じ。ラストのどんでん返しも気持ち良い。でもヘイスティングスはそれほど活躍しない。邪…

ゴルフ場殺人事件

名探偵ポアロシリーズ。いつもきどっているポアロが若いジロー探偵に小馬鹿にされて発奮する姿が楽しいが、この作品でもっとも楽しいのはシンデレラの登場。彼女は確かシリーズ通して出てくる話はほとんどなかったように思う(最終作「カーテン」ではシンデ…