悪魔の手毬唄

横溝正史推理小説
23年前に起きた殺人事件と現在の村に起こる殺人事件の関連を追う金田一が活躍する話である。推理小説としては「顔の無い死体」形式とマザーグース形式、というのか地域に残る古い唄を元にした形式をうまく組み合わせていて、意欲的。あとがきにもそんなようなことが書いてあった。
ところで私が横溝作品を気に入っているのは推理小説としてきちんとしている点の他に、私が見たことのない日本の地方が描かれている事が大きい。二つの事件のドロドロした繋がりもそうだし、村社会の排他的で閉じたところも、あとちゃんとした方言が使われているのも魅力である。つまり「男はつらいよ」を見る理由に近いという。

悪魔の手毬唄 (角川文庫)

悪魔の手毬唄 (角川文庫)