容疑者Xの献身

東野圭吾のミステリ。
別れた夫を殺してしまった女性に声を掛けてきた隣人と、その同級生探偵の知恵比べ。
ミステリを読んでいて少しずつ違和感を感じることがある。それが結局トリックを解く鍵であったりすると悔しい。悔しいけれども違和感を違和感としてしか読んでないうちはミステリファンとは呼べないという自覚はある。『容疑者Xの献身』でいえばそれは犯行日。10日の犯行が11日であっても「そうだったかな〜?」ぐらいで読み進めてしまうというのが正直なところである。そこで何かおかしいと疑ってかかるようでなければいけない。ただ作者としてはどうなんだろうとも思う。疑ってかかる向きは間違いなくしっかりと読んでいることになるが、そこで立ち止まらずに読みすすめてくれた方が後で吃驚してもらえるわけで、作者にとっては後者がより良いお客様とは言えまいか。
まあそれはそれとして、今回のトリックは過去に読んだ例のないものであったので、面白かった。

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)