日本の神話・伝説を読む―声から文字へ

佐佐木隆の新書。
古事記」や「日本書紀」を読むとまず気づくのは神様の名前の長さである。アメノニギシクニニギシアマツヒコヒコホノニニギとか。ちなみにアメノニギシ・クニニギシ・アマツヒコ・ヒコ・ホノニニギと読むと読みやすくなるが、それでも日本語としては異様な響きである。いったいこれは日本語なのかという疑問もわく。もちろんこれは日本語である。ただし1000年以上も昔のものである。その間に日本語は時代の変化影響を受けて大きく変化しているが、固有名詞である名前にはこういった変化影響が、全くないわけではないだろうけども少なく受けて今なお古い形を残していると考えることができる。日本語のタイムカプセルである。これはすごいことなんじゃないですか。そしてまたこの名前は実は様々な意味を含んでいて、例えばこの本で挙げられている例では、名前で話のあらすじを説明してしまっているのである。ちょっと手元に本がないので具体例を挙げられないのだけども、そういったことが書いてある本。
もう少し詳しく言えば、いわゆる「記紀」などは口伝を基にした本であるからその音はともかく字はあてにならず、音から想像力を働かせて考える必要があり、それはつまり古代人が聞いた音をどのように捉え考えたかをさかのぼる作業であってこれまたすごいことなのであります。オススメ。

日本の神話・伝説を読む―声から文字へ (岩波新書)

日本の神話・伝説を読む―声から文字へ (岩波新書)