大江戸曲者列伝―幕末の巻

“曲者”という言葉にドタバタに巻き込まれて本意でない顛末を迎えた人、という意味があるのならこのタイトルでも良いが、残念ながら“曲者”という言葉がそういう意味で使われているのを見たことはないので誇大広告の類いかタイトルを誤ってつけられたとしか思えない本。
本編で扱われている“曲者”38名中、本来の言葉通りの人だと思えるのは片手で足りるほどで、残りはただ「こういう人がいました」という程度の話で正直魅力に欠ける。更に著者の日本語が下手なのか調査不足なのかそれとも的がずれているのか、とにかくよく出版社がOK出したなと思える話も散見される。唯一興味を惹かれたのは幕府からアメリカに派遣された使節の一人の話で、これは面白かった。でもやはり曲者ではなかった。

大江戸曲者列伝―幕末の巻 (新潮新書)

大江戸曲者列伝―幕末の巻 (新潮新書)