YOUTUBEで米国のヒットチャートを見ていて思ったこと

最近はYOUTUBEなどで音楽を簡単に視聴できるので、「買うほどではないけどちょっと興味のある曲」へのハードルがとても低い。これはご新規さんを集めるのにとても良いことである。これが日本におけるCD売上低下の原因とする向きもあるようだが、それはちょっと違うのではないか。やはり好きなアーティストのCDは確実に手元に置いておきたい。
私がインターネット上で簡単に視聴する「買うほどではないけどちょっと興味のある」ジャンルというのはクラシックであったり最新ヒットチャートに入るような曲であったりする。特に後者は、長女がそういうものに興味が出てきたので、一緒に付き合って見ることが多い。海外のチャート上位に入る人はとにかく歌が上手い。当たり前だが歌唱の達人ばかりである。だから興味のないジャンルであっても見ていて飽きない。一方で日本のチャートは見ていて(ほとんど見ないけど)すぐに飽きる。歌が上手くないからである。個性重視という名の容姿偏重の弊害である。
どちらが良い悪いというものでもないが、こと「歌」ということで考えれば海外のチャートの方がまっとうであることは当然である。日本国内のものを見て違和感を覚えるのは、「歌」のランキングを見ているはずが、「容姿その他による人気」のランキングを見ているからである。
音楽業界はCD売上の低下を嘆いているようだが、その原因としてまず挙げられるのは、もちろんPCとインターネットの普及と共に音楽を消費する形態が変わってきたということだ(とすれば私の「手元に置いておきたい感覚」というのも、既に古い感覚なのかもしれない)が、一方で、個性重視という名のもとに「歌」の世界を破壊してきた音楽業界そのものがそれに拍車をかけたことは自覚した方が良い。
個性重視・容姿重視が悪いというわけではない。アイドルという市場があっても良い。ただ音楽を売るのにアイドルを正面に据えるのはいただけないというか、それでは日本の音楽業界は伸びていかないと思うので、それとこれとは分けて考えるべきであるだろう。やはり誰でも上手い歌を、良い曲を聴きたいのであるから、そういう人を探して売り出せばよい。そこに下手に容姿とか個性をプラスしようとするから中途半端になる。アメリカは仕方がない。あいつらはメジャーである。50本50盗塁とかするような連中である。それでもよく見てると歌はうまいが見た目がいまいちという人は多い。とにかく歌さえうまければ正義なのである。日本の音楽業界がそのくらい開き直ったら面白いと思うんだけど。