マジック・イン・ムーンライト

監督・脚本:ウディ・アレン(2014 米)
出演:コリン・ファースエマ・ストーンほか
内容:皮肉屋のマジシャンが霊能力者のトリックを暴く。
1920〜30年代のフランスを舞台に、現実的で合理主義のマジシャンと魅力的なアメリカ人占い師が駆け引きを繰り広げる。
ウディ・アレンの映画には悲観的な人物が欠かせない。今回の作品ではコリン・ファースの演じる悲観的なマジシャンがそれに当たり、さすが得意なキャラクターであるだけに見ていて楽しい。ウディ・アレンが若ければ自分でやりたいところだろうけども、今回はコリン・ファースの堂々とした英国人振りによって、キャラクターとしてさらに良くなっているように思える。
物語全体はスクリューボールコメディ的でいまいちという評価が多いようだけども、むしろウディ・アレンは敬愛するルビッチ作品のようなスクリューボールコメディを作りたかったのではないか。ウディ・アレン監督作品への期待ということを考えれば賛否両論分かれるところかもしれないが、趣味良くきれいに、しかも軽くまとまっているという作品というのも今時なかなかあるものではない。全てが理性で割り切れるものでないというテーマも(ウディ・アレンが私生活において身をもって示しているけれども)作品内ではタイトルと絡めてきれいにまとまっていて良い。万人受けはしないかもしれないが、オススメ。