悪魔が来りて笛を吹く

金田一耕助シリーズ。
昭和22年、金田一耕助の元を訪れたのは、この春に世間をにぎわした天銀堂事件の容疑を受け失踪し、4月14日、信州・霧ヶ峰でその遺体が発見された元子爵の娘だった。父が残した遺書を持参した娘は、母が父らしい人物を目撃したと怯えていることから、父が本当に生きているのかどうか、明晩、占いを行うことになったことを説明し、金田一耕助にその占いへの同席を依頼した。
この作品では戦後の混乱と没落貴族という他の横溝作品とは少し違った舞台と登場人物だが、陰のある雰囲気は変わらない。物語冒頭でも語られているが、鍵となるフルートの絡ませ方が素敵。