アメリカから見たアジア代表『シャン・チー/テン・リングスの伝説』

監督:デスティン・ダニエル・クレットン(2021 米)
出演:シム・リウ、オークワフィナ、メンガー・チャン、ベネディクト・ウォンベン・キングズレーミシェル・ヨートニー・レオン
 犯罪組織を率いる父親(トニー・レオン)に幼いころから鍛え上げられ、最強の力を持ったシャン・チー(シム・リウ)は、組織の後継者とみなされていた。だが、彼は自らの力を封印し、過去の自分と決別してサンフランシスコでホテルマンとして平凡に暮らそうとする。だが、伝説の腕輪"テン・リングス"を操る父親が世界を恐怖に陥れようとしたため、シャン・チーはついに封印していた力を解き放つ。(Yahoo!映画より)
 ブラック・ウィドウに引き続き字幕なし英語版で鑑賞。字幕がないのは仕方ないとして、開始15分くらいまでの中国語パートが英語字幕すらなく、父の来歴のあたりはさっぱり意味が分からなかった。それでもそこはマーベル作品、細かいところがわからなくてもなんとかなるのはすごい。その父親役はトニーレオンである。トニー・レオン!相変わらずのイケメンぶり。顔が整いすぎていて華の無い主人公との対比がきつい。いや主人公は優しそうでアジアで全然構わないんだけども、両親が美男美女のわりにちょっとなんというか、かっこよさが控え目。楽天の浅村栄斗そっくりでも構わないんだけど、主人公を正統的正義の味方路線に据えているからこそ無理が出てくるというか、例えばミスター・ウォン(ドクター・ストレンジの相棒)のような路線でも良かったんではないかと思ってしまう。こういうのも最近ではルッキズムと言われてしまうんだろうか。
 昨今はそういうマイノリティ?への配慮が欠けていると大変なことになるようなので、マイノリティへの配慮という看板のもとに今後もいろいろと納得のいかない配役はされるんだろうけども、皆に少しずつ不満が残るというのは多様性の正しい形なのかもしれない。でもそれと興行がうまくいくかどうかはまた別の話なので、そのうち大コケする作品が出てきたりするのかなと思わないでもない。
 まあそういった配慮は別としても、パッとしない見た目、英語を話せない高齢者、カンフー強い、なんだかよくわからんすごいパワー、仙人が住んでる世界等等は、本作品がアメリカから見たアジア(中国)を反映していることは間違いないので、へえ、あんたそんなこと考えてたのね的なとらえ方もできて楽しい。