監督:黒澤明(1963 日)
出演:三船敏郎、仲代達矢、香川京子ほか
内容:靴屋のお家騒動で子供が誘拐
ストーリーは意外と普通の誘拐事件。電話の逆探知、電車を利用した身代金の受け渡し、メモに隠された秘密、車から割り出される犯人の行動範囲等、推理小説の基礎がたくさん。この映画が誘拐モノの基礎となったのか、その逆かはわからないが基本的なことはしっかり抑えていたというか、きっちり映像化されていた。
犯人が薬を手に入れた後にドヤ街というか中毒患者の巣窟のようなところへ向かうのだが、これがなかなか衝撃的。このまんまということはないだろうけど、戦後の日本にはこういうところもあったのだなあ。こういった日本のアンダーグラウンド的な部分はどんどん消えていってきれいになっていく傾向がありそれは良しとされているのだけども、見るからに危ないところがなくなってどこが危ないかわからなくなるというのはどうなんだろう。どっちがよいとも悪いともいえないか。
犯人はどこかで見たことのあるキレ具合だと思ったら山崎努だった。こんな頃から出ていたんですね。それから大滝秀治が新聞記者で、東野英治郎が工場の工員役で出ていた。黄門様です。もう一人の黄門様・西村晃は債権者の役で出ていたようですが、よくわからなかった。この二人の黄門様はよく黒澤映画に出ていたようで、よくクレジットで名前を見かける。あ、あと「七人の侍」の前髪の人がまともな役で出ていたのがなんとなく笑えた。前髪のくせに!みたいな。