秘密

1961年、少女ローレルは恐ろしい事件を目撃する。突然現われた見知らぬ男を母が刺殺したのだ。死亡した男は近隣に出没していた不審者だったため、母の正当防衛が認められた。男が母に「やあ、ドロシー、久しぶりだね」と言ったことをローレルは誰にも話さなかった。男は母を知っていた。母も男を知っていた。彼は誰だったのか?ケイト・モートンが再びあなたを迷宮に誘う。

『忘れられた花園』を読んでから楽しみにしていた、ケイト・モートンの長編ミステリ。amazonのレビューでは意外と低評価だったが私としては結末も含めてストライク。『忘れられた花園』とほとんど同じと言ってしまえばその通りだが、面白いと思うのだからしょうがない。
現在になにがしかの影響を与えている過去の事件の謎を解くというスタイルは、とりもなおさず全てのミステリに通じるものである。その事件が現在と離れていれば歴史が絡んできて私好みの話となる。それをいつも同じと言ってしまっては作者も立つ瀬がない。それにたかだか二つの小説で舞台が少し似ているくらいどうということはない。ロバート・ゴダードなんかほとんど毎回同じような作品だがそれなりに人気はある。主人公を導く手がかりの散りばめ方や小道具、舞台によって趣は変わってくるので、読者はそれぞれ楽しめば良いのである。でも3つ目はもういいかな。

秘密〈上〉 (創元推理文庫)

秘密〈上〉 (創元推理文庫)

 
秘密〈下〉 (創元推理文庫)

秘密〈下〉 (創元推理文庫)