一九九四年、予備校受験のために上京した受験生の尾崎孝史だったが、二月二十六日未明、宿泊している古いホテルで火災に見舞われた。間一髪、同宿の男に救われたものの、避難した先はなんと昭和十一年の東京。男は時間軸を自由に移動できる能力を持った時間旅行者だったのだ。雪降りしきる帝都では、いままさに二・二六事件が起きようとしていた――。
大胆な着想で挑んだ著者会心の日本SF大賞受賞長篇!
宮部みゆきの二・二六事件を舞台とした長編SF小説。二・二六事件は祖父も誘われたと聞いたことがある。戒厳令下の東京について全く知らなくても事件の渦中にいる臨場感を味わったような心持ちにさせられるのはさすがである。結末も良かった。