パラダイン夫人の恋

監督:アルフレッド・ヒッチコック(1947 米)
出演:グレゴリー・ペック

近代のロンドン。目の不自由なパラダイン大佐が殺害され、夫人が提訴される事件が起こる。裁判を担当することになった弁護士アンソニーは、やがて夫人の美しく妖しい魅力にとりつかれ、彼女の無実を証明しようと躍起になるのであった。しかし疑いの目が大佐の世話人ラトゥールに向いたことからアンソニーは事件の意外な真実に気づいてゆく・・・

 ヒッチコック作品は大まかに渡米前後でわけることができる。この作品は舞台が英国なので、渡米前だろうと思ったのだがグレゴリー・ペックが出てるしセルズニックの名前も出てるしアレ?と思ったら渡米後の作品だった。渡米後初期の作品。
それでも舞台は英国である。カツラをかぶって法廷劇である。そこで弁護士役のグレゴリー・ペック依頼人を助けるべく奮闘するのだが、これが英国社会に入り込めないアメリカ人にしか見えないのは『ローマの休日』のせいとばかりは言えないよなあ。勝利と正義の男グレゴリー・ペックには田舎の宿も法廷のカツラも似合わない。そもそも階級社会にそぐわない人選なのではなかろうか。
そぐわないといえば音楽も盛り上げようとしすぎていて、そぐわないというかちょっとうるさい。他の出演者は、例えば夫人役の人も世話人の人も外国人の役で外国人らしさを出している。出しているのだが全体でみるとそれが仇となっている。それなりの法廷劇、浮いてしまう主人公、怪しい外国人、そしてうるさいくらい盛り上げようとする音楽。総じて見るとなんだかちょっと陳腐。 

パラダイン夫人の恋 [DVD] FRT-174

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