ファックファックと連呼したアメリカ人の話

日本からチューハイを輸入したらマー人に好評である。特に女性に人気。
曰く慣習として女性がお酒を飲むのはあまりよくないとされているので、このお酒はお酒に見えないので周りから文句言われず良いとのこと。
そうは言ってもうちの女性スタッフが毎晩数本買って帰るのはあまり良くないよね、飲みすぎだよね、一昨日は15本も買っていったよね、という話を別の女性スタッフに話をしていたら、いつのまにか昨夜のバーでの出来事の話になった。このあたりの話のつながりというか変化はマー人特有なのか、気づくと話題が変わっていることが少なくない。
彼女の話では、酔っ払ったアメリカ人がファックファックと連呼していたから私のハズバンドがぶん殴ってやったのよ!次見つけたらうちの従業員みんな連れてってブッ(自粛)してやるわ!という。これだけだといまいちよくわからなかったのでもう少し説明してもらったところ、要するに、あのアメリカ野郎はブラックスキンを憎んでるのよ!とのこと。
彼女による我が社従業員の私物化とその目的、および好戦的な彼女の性格についてはまあ良いとして、黒人がアメリカ大統領をつとめる21世紀にいまだにあからさまに人種差別をする人がいる、というのはおどろきである。
そのアメリカ野郎がどういう理由で肌の色の違う人種を嫌っているのかは知らないが、私が10年(10年!)こちらに住んでながめた感じでは、マー人は、自分たちがちょっと時間にだらしないとか、ちょっと金銭的にルーズであるとか、酔っ払うとちょっとだらしなくなるとか、そういった悪いところは一応自覚している。そしてその自覚している点について文句を言ったり叱ったりすると、大抵の場合は、いやあ、もうしわけない、という感じにエヘヘと笑う。そんなマー人でも筋の通らない差別には「ブッ(自粛)」というほど怒るんだなあ、というのもおどろきである。
しかし酔った勢いで差別意識を丸出しにしてファックファックと連呼する、その傲慢さを自覚できないアメリカ野郎より、エヘヘと笑うマー人ははるかに人間としてまともだし、知的である。
人種差別というのは、幸い私はそういった目にはほとんどあったことは無いのだが、つまるところ、根拠なく人種で括って十把一絡げにし、そうした上で蔑み、不利益をもたらす点に問題がある。「世界に一つだけの花」を引合いに出すまでもなく、人間が一人一人異なるというのは当たり前のことで、中には良い人も悪い人もいる。良い点を指摘するのであればともかく、悪い点をあげつらうのにひとまとめにされたら、文句が出るのは当たり前である。
そのあたりのことを韜晦しているのか無知なのかは知らないが、差別したがる人は一括りにしてしまう。このように物事を単純化してしまうのは、複雑に考えることができない人が増えてるためではなかろうか。平たく言えばバカが増えているのではないか。私もあまり人のことは言えないのだけども、なんでもかんでも単純化して考えていると、物事を単純にしか考えられなくなるという危険をはらんでいることは覚えておいた方がいい。
ちょっと話にまとまりがないような気もするが、まとまりがないついでにあまり関係ない話をすると、先に挙げたマー人の悪いところ、これらは肌の黒さではなく、絶海の孤島という、国のロケーションに由来していると思う。だから日本人でもアメリカ人でも、昔からこの島に住んでいたら今のマー人と似たようなことになるんではないかと個人的には思っている。