夜烏

モーリス・ルヴェルの短編集。
かろうじて繋がっている蜘蛛の糸をはじくような話ばかり。切れないで済む蜘蛛の糸はほとんど無い。人の持つ悪さや弱さは、なんらかの不幸からもたらされる緊張感に耐えられないのである。どの話も短いが、重い。オススメ。
ちなみにこのような悪い夢をみているような小説は、世間ではどうやら怪奇小説と分類されていて、私は高校生の時分によく読んでいた。しかし粗筋などを覚えていないのは恐らくちゃんと読んでいなかったんだろう。それでも一場面とか雰囲気はなんとなく覚えていて、それだけ覚えていれば読んだ甲斐はあるのだと最近では思う。科挙ではあるまいし一言一句覚えて入る必要は無い。大事なのは雰囲気。

夜鳥 (創元推理文庫)

夜鳥 (創元推理文庫)