労働許可証の無い国で労働許可を証明する方法。

3月末でマネージャーが退職するので、それに伴って銀行の小切手のサインを変更しなくてはいけない。そこでまず手続きに必要となるものを聞こうと、マーシャル銀行に電話させた。曰く、マネージャーによる署名変更依頼書と新しく署名を登録する人のパスポート、労働許可証、滞在許可証、そしてソーシャル・セキュリティ(年金)の番号が必要であるという。要するにマ国における身分を証明する全ての書類ということになる。そこまで情報を集めて何をしようというのかわからないが、必要というのであれば仕方が無い。新たに登録するのはナオキくんと私のと二つなので、二人分の書類を用意することにした。が、問題は労働許可証である。
本来、マ国の労働許可証は日本の古い運転免許証のようなプラスチックのカードだったのだが、一昨年あたりからカードを作成する機械が故障してしまい、カードを発行できないでいる。では紙製のカードになったのか、というとそうでもなく、そこは予想の斜め上を行くマー人のことである。なんと現在マ国のLabor Division(労務省?)は、労働許可証を発行していないのである。
では提示が必要なときどうすればいいか。その機会がほとんど無いのでわからない、というのが実情である。ただ申請後に「許可証が発行されましたよ〜」というレターはくれるので、こちらの勝手な判断ではあるが、それをコピーしておけば大丈夫かなと思っている。実際、ナオキくんが入国の際は前もってそのコピーを渡しておいた(提示の機会は無かったらしい)。
ということはその手紙を二人分用意すればコトは足りるのだが、私の分だけ無いのである。無いならば再発行してもらえばいいじゃない、ということで今度はLabor Divisionへ連絡。従業員の親戚がいるらしく、話の通りが早い。そして「OK、わかった。とりあえずオフィスに来てくれ」という話だったので政府のビルに向かう。
すぐに手紙をもらえることを期待してLabor Divisionに入ると、結局いつも担当してくれているおっさん(タカさん)の席に通された。そこでまた私の労働許可を証明する書類を必要としている事情を一から話すと、「OK、すぐ作ってやる」という意外な返事がかえってきた。しかしそれには「もう一回申請しなおせば」という条件がついていた。もう一回申請するまでには警察からの無犯罪証明と病院からの健康診断書を用意しなければならず、2週間はかかってしまうのである。いかにのんびりした島でも「すぐ」とはいえない。私がほしいのは更新でも延長でもなく、既におりた許可を証明する手紙であることをもう一度説明したが、返事は相変わらず「OK、すぐ申請しろ」。
ただ一通の手紙をどうして書けないのか理解に苦しんだが、よくよく聞いてみると、過去の全ての記録を誰かが間違って消してしまったらしい。そのため1年以上前の記録は参照できない、とのこと。そういうことであればどれだけ粘っても無駄というもの。ここは一度諦め、マーシャル銀行で何とか誤魔化してみよう、と決めた。タカさんにはどうしても必要になったら再申請するよと伝え(「OK、すぐ作ってやる」と答えていた)、手ぶらで政府ビルを出た。
さて事務所に戻り、書類の不足は気迫で補う!というつもりでマーシャル銀行へ出かけようとしたが、その前にもう一度だけ許可証関係のファイルを調べた。そしたらアレだけ求めていた書類、私の労働許可を証明してくれる手紙がはさまっていた。教訓。書類はよく探そう。