恐ろしい話

恐ろしい話を集めた短編集。ではあるが全体に恐ろしいというよりブラックユーモアあふれる話が多かった。収録されている作家はディケンズ、ポー、グリム、サキ、モームモーパッサン志賀直哉菊池寛岡本綺堂夢野久作、とかなり豪華。なかでも特筆すべきはスウィフトの『貧家の子女がその両親並びに祖国にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんとする方法についての私案』が収録されていること。
そういう作品があることは知っていたが、読んだのは初めて。数数の政府への建言が取り上げられないことに業を煮やしたスウィフトが書いたというエピソードも納得の、歴史に残るブラックジョークである。詳しく解説するのもつまらないので興味がある向きは是非読んでほしいが、趣味が良いとは言えないのでオススメはしない。あと最後の註が興を殺いでいて残念。

恐ろしい話 (ちくま文学の森)

恐ろしい話 (ちくま文学の森)