古代日本についての刺激的な一冊『倭国の時代』岡田英弘

 岡田英弘による古代日本のまとめ。古代については古事記日本書紀が基本とされるが、その日本書紀天武天皇の政権が自らの正統性を固めるために書かせたものであり、このため事実を少しずつ変えているところもあるので注意が必要、というスタンス。また古事記日本書紀よりもあとにできたので日本書紀に載ってない話も載っている、等等。基本的に当時のことははっきりとはわからないとした上で、残っているものから理論的に考えているように思えて楽しい。

 特に興味を持ったのは飯豊天皇の話。飯豊天皇または飯豊青皇女履中天皇の皇女で清寧天皇から顕宗天皇にかわるところで執政者として政を執り行ったと伝えられる皇族。記紀においては天皇として数えられていないが書物によっては「飯豊天皇」と記されている。これが本当であれば推古天皇より前の女帝ということになる(神功皇后は別として)。また天皇のような地位にあった人で天皇と呼ばれないなら天皇をどのように定義するのか、していたのか、というところも気になる話である。興味がある向きはWikipediaにもいろいろ載っているので見てみると良いと思う。オススメ。