発展途上国への援助の理想と現実。

港に停泊中のボート。本文とは関係ありません。
 南の島はこのところ悪天候が続いている。そういう時に限って珍しくボート関係の仕事が入っていたりする。しかもなぜか中東からご指名があった。完了日が決まっているらしく毎日矢の催促である。whats appなんて入れなければよかった。
 このボートは某組織からの寄贈品なのだがちょっと問題があり、詳しく書くのははばかられるのでかいつまんで言うと、ちょっと気をつけて運転しないと危ないかもしれないという仕様になっている。もちろんお客にも供給側にもそのことは繰り返し言ってあるので大丈夫ではあるのだが、こんなもん送ってきてお金が無駄にならないといいですけどねと他人の懐を心配してしまう。
 発展途上国にいると寄贈品とか援助とかドネーションとか言われる各国各組織からの支援を目にする機会が多くその豊富さに驚く。同時に的外れな寄贈品が使われずにゴミになっていたりする現実にも驚く。特に専門的なものは仕様が合わず使えなかったりすることも多い。ボートで言えば太平洋の波を想定していないので強度的に無理で外海に出られない、とかである。
 なぜこのようなことが起こるかというと①援助される側である現場からのリクエストが雑、②援助する側が現場の実態を把握していない、③相見積りの価格だけで購入先を選んでいる、という三つの原因がある。すなわち現場が細かい要求を出し、援助する側がそれを共有・把握した上で、価格だけでなく内容も精査したアイテムを選ぶことができればこういった無駄はなくなる。
 もちろんこれは理想であって現実には予算や納期やぼったくり業者等、他の要素も入ってくるので簡単ではない。そもそも何もせずに援助をもらう側がえらそうなことを言うな、支援は気持ちが大事なのである、という声もあるかもしれない。もらう側もそういったお気持ちには感謝している(と思う)が、それでもランニングコストがかかることもあるだろうし、やはりもらうからにはちゃんとしたものをお願いしたいところであり、援助や支援の目的を考えてまともなものを選んでほしいものである。どっとはらい