文系がまとめた科学史『人類が知っていることすべての短い歴史』ビル・ブライソン

 説明を聞けば頭で理解することは一応できるけども、それが起きた理由とか、前後関係がわからないとなかなか理解に至らないということは多い。文系脳と言われればそうなのかもしれないが、私にとっては宇宙とか化学の話はその最たるもので、特異点とかビッグバンとか、知ってるけど理解していない。同じような人は多いのではないか。速水けんたろうと清水けんたろうの違いが分からないのに似ている。不祥事を起こしたのは知ってるけど、クスリで捕まったのはどっちだったかな?みたいな。
 つながらないから納得できる紐づけを探してしまうのだけれども、説明が難しすぎたり、逆に未だにわかっていなかったりするので理解の助けとはならず、理科嫌いは加速するのである。しかしそもそも宇宙に理由はなく、たまたまの結果が今の世界である、ということを知っていても理解していない人は多い。
 この本の著者も『科学は退屈なものだと信じ込んで育ち、本当はそうではないはずだとうすうす感じながらも、特に必要がないかぎり科学のことなど本気で考えなかった』という人だったが、一念発起して猛勉強の結果まとめたのがこの本らしい。大変わかりやすく説明してある。ただこれを読んでも科学についてわかったような気になってはいけない。あくまでもとっかかり程度と考えるべき。