神様の裏の顔

神様のような清廉な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみで包まれ、誰もが涙した――と思いきや、年齢も職業も多様な参列者たちが彼を思い返すうち、とんでもない犯罪者であった疑惑が持ち上がり……。(amazonより)

 藤崎翔のミステリ。ただのどんでん返しでなく、うまくまとまっていると思うが、2回目はちょっと無理があったように思えなくもない。

神様の裏の顔 (角川文庫)

神様の裏の顔 (角川文庫)

 

 

かがみの孤城

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
amazonより)

 辻村深月の長編小説。読み始めは主人公のダメっぷりにイライラしていたが、読み進めるうちにこういう女子もいるんだろうなと思えるようになり、その辺りから一気に読んでしまった。主人公の世界が広がっていく感じが良い。

物語のタネあかしについては読んでいればすぐにわかる程度のものだと思うが、伏線がきれいにまとまっていて読後感がすっきり。 
かがみの孤城

かがみの孤城

 

 

 

2018年のまとめ

今年は11月から畳みかけるように忙しかったので、いつにも増して年を越すという実感がない年となりました。それでも少しずつ本を読んではいるので、感想を書かなければいけないものがたまっていくばかりでしたが、例によってタイトルとあらすじと一言感想だけでも書いておきました。これだけでも少しは忘れづらくなることでしょう。忘れづらいといいますか、何があったわけではありませんが2018年はなんというか自分の記憶力に自信がなくなってきました。簡単な数字もすぐ思い出せなくなる。筋肉痛も二日後に来ますし、これが老化というものか!という感じで。歳をとることは誰にでも分け隔てないものなので仕方ありませんが、せめて遅らせるために運動でもしたらいいんですよ。というわけで2018年は買ったCD3枚、読んだ本41(+3)冊、見た映画13本でした。

コリーニ事件

2001年5月、ベルリン。67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。被害者は大金持ちの実業家で、新米弁護士のライネンは気軽に国選弁護人を買ってでてしまう。だが、コリーニはどうしても殺害動機を話そうとしない。さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父であることを知り…。
公職と私情の狭間で苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で公訴参加代理人になり裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが、法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。コリーニを凶行に駆りたてた秘めた想い。そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは。
刑事事件専門の著名な弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く、圧巻の法廷劇。amazonより)

 

フェルディナンド・フォン・シーラッハの(彼にしては)長編小説。今回もまたずっしりとした迫力があった。以下少しネタバレ。
終りの方で、(戦争犯罪を)全て背負っていかなければいけないのか?という著者からの問いかけのような会話があった。理想論を言えばどこかで断ち切らなければいけない。ただそうは言っても簡単には片付けられない話である。おすすめ。
コリーニ事件 (創元推理文庫)

コリーニ事件 (創元推理文庫)

 

 

倭の五王

5世紀頃の中国の登場する倭国の五人の王、讃、珍、済、興、武について、それぞれの時代のアジアの状況や歴史書を細かく見直しつつ、日本の元となったであろう勢力について、考察を重ねている。
誰がどれに比定されるのかというのがもっとも興味のあるところだが、記紀の記述があやしい以上、間違いなく誰と断言はできないことを本書ではそれとなく匂わせ、ただやはり継体以前と以後というのは明らかになんかあったよね、という感じでまとめている。
あとがきには本書は正道に異論を唱える内容であると書いてあったが、残念ながら私の勉強不足により正道がどのようなものであるかはわからない。日本の古代史は残ってるものが少ないから、今後今以上に明らかになるには中国でなにか発見がないと難しいかもしれませんね。

倭の五王 - 王位継承と五世紀の東アジア (中公新書)

倭の五王 - 王位継承と五世紀の東アジア (中公新書)