村上龍の長編小説。北朝鮮が頭を使って攻めてきたら日本が大変なことになる話。
北朝鮮内部について、とにかく細かく描かれている。役職等の説明をカットしたら文庫本一冊にまとまるのではと思うほど微に入り細に入った説明がされている。ただし、北朝鮮の内部事情について、実際に調べたのか著者の空想であるかは読者は調べようがないので、まあそれはどうでもいいのだけどもその説明量が荒唐無稽な内容にもかかわらず説得力のある物語にさせている一因ではある。
またその内容は一口に言って、平和ボケした日本に訪れるかもしれないディストピアな未来である。事勿れ主義、付和雷同の方向に極端に進んだ日本人社会であればさもありなんという、現実世界に「このままでいいのか!」と強烈なビンタを喰らわせるような厳しい視点が恐いような痛快なような心持である。
生ぬるい日本と、何をしでかすかわからない北朝鮮という二つの現実を拡大し、ぶつけてみたというのがこの作品だが、その解決策をアウトロー集団に拠るというのは何とも言えない。厳しいことを言ったから結末は甘めにしたのか、他にどうしようもない著者または設定の限界なのか。もっと面白く納得のいく結末も思いつかないので、いいのかな。
- 作者: 村上龍
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2007/08/01
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