監督・脚本:コーエン兄弟(2018 米)
第二話、銀行強盗に失敗する男。泣き叫ぶ縛り首仲間に「初めてかい?」と尋ねるセリフのためだけに作られたと思われる一本。
第三話、四肢が切断された若い男と興行師の話。ポーの小説っぽい雰囲気。見る者の想像通りに展開するのが怖い。
第五話、運命に翻弄される若い娘。兄と新天地オレゴンに向かうはずが、兄が急逝し途方に暮れてしまう。何事にも優柔不断な娘だが、最期だけ判断が早かったのが皮肉である。
ところで西部劇は日本でいうところの時代劇が相当するだろうか。時代劇の短編集といって思い浮かぶのは藤沢周平とか?この映画の内容的には南条憲夫のほうが近い。ただ日本の時代劇というと人情物方面が多く、ユーモアを感じさせるようなものは少ない。ブラックなユーモアというとさらに少ないない。あっても良さそうなものだが、たぶんない。椿三十郎はユーモアがあるがブラックではない。北野武の座頭市はそういう方面を切り開きたかったのかなと思わないでもない。
それからアメリカ人にとっての西部劇時代の常識というか感覚はどんなもんなのか。日本人が時代劇を見るときの常識、それは例えば刀を持ってたらお侍さんで、お百姓さんはお侍さんには逆らえない、みたいなものはあるのかな。我々が西部劇について知っていることはあまりにも少ない。