太平洋地域の歴史を知るのによい一冊。太平洋は広いようで狭い、というのは関係者の間でよく言われるが、執筆陣にも知ってる人がちらほら。歴史の読み物としても面白いが、自分の身の回りのことでもあるので勉強になる。
太平洋地域には日本とのつながりが深い国が多いのに、日本でほとんど知られていないのは勿体なく哀しい。パラオの言葉に日本語が多く残っているというのがニュースになっていたが、マーシャルも負けてはいない。ゾーリ、デンキ、ショーユ、ヤキュー、アミモノ、アメダマ、サシミなどはほぼそのままの意味で使われている。面白いのでは「ビリヤードで手玉と的玉がくっついた状態」のことを「キンタマ」という。「モモタロー」という名前の国会議員がいる。「キンタロー」も国会議員ではないがいるらしい。ちなみにどちらもファミリーネームである。この国の人たちのほとんどは自分の国が日本の統治下にあったことを知っているのに、当の日本人が知らないというのはいかがなものか。旧日本領は太平洋にもあるんですよ、というのは声を大にして言いたい。