百田尚樹の長編小説。
亡くなった祖父の姿を追い求める姉弟。祖父の戦友たちの話から浮かび上がる祖父の姿と真相。
一つの長編小説としては、ごく普通。こんなに都合よくあちこちで生き残る飛行気乗りがいるものかとは思うが、ただ日本人が知っておくべき戦争の流れをざっくり追っており、有名なエピソードも入ってるので、太平洋戦争についてよく知らない向きは読むとよいかも。戦争について、このぐらいの話は知っておきたい、というラインをクリアしている。というよりそうなるように書いたものと思われる。
このところ安保法案なんかで安部政権を止めろ!的なデモが耳目を集めているが、政府は国民を守る責任がある以上、常に最悪の場合を考えていろんな選択肢を準備しておく必要はあり、そういう意味で今回の安保法案は必要なのではないかな。
ただこういうことを書くとネトウヨといわれてしまうのが今の日本で、それはちょっとおかしい。ついでにいうと国歌や国旗に敬意を払うことを是としないのもおかしい。世界を見渡してもこんな当たり前のことで文句が出るのは日本くらいのものである。例えどこかの国で日の丸を焼かれても、日の丸はもちろん相手の国の国旗すらも大事にするくらいの品位を保っていきたいものである。
話がそれたが「右や左とけんかはおやめ、僕らが向くのはいつも前」という都都逸もあるように、まあ都都逸に説得力があるかどうかは置いておくとして、今も昔も戦争したいと思ってる人なんてそんなにいないのである。この本でも触れられているが、戦争をしていた人たちの多くが尊い犠牲を払ってでも守りたかったものは何なのか。現代の日本の繁栄は戦争の犠牲を礎として築かれたものであることを忘れないようにしたいものである。
- 作者: 百田尚樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/07/15
- メディア: 文庫
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